デザビレで合同展「Rooms」エグゼクティブ・プロデューサー、佐藤美加さんのお話を聞く
やっぱりよそん家のセミナーはいいなぁ♪ 今日は、デザビレこと、台東デザイナーズビレッジさんのセミナーに久々にお邪魔させて頂いた。セレクトショップ向け合同展示会「Rooms」のエグゼクティブ・プロデューサー、佐藤美加さんのお話だ。
デザビレ村長の鈴木淳さんには、いつもいろいろとご指導頂いたり、販促にご協力頂いたりm(__)mと非常にお世話になっている。ブログ「どうすれば会社とブランドが育つか?」は、ファッション業界有数の中身の濃いブログで、毎日楽しみに読ませて頂いているのだが、さすがです。さくらが自宅に帰りパソコンを開けたら、既に今日のセミナーの話題がアップされていました。鈴木さんらしい、大きな視点で捉えておられますね。
今日聴講なさっておられた方の多くは、まだ若いデザイナーや起業家の卵の皆さん達だと思うので、そういう方々はどんな風に今日のセミナーを受け止められたのだろうか。
私が意外に思ったのは、「スクリーニングで落ちる確率は全体の10%くらい」という発言があったこと。世間では、Roomsさんは難易度の高い展示会だという風説が流れているが、そんなもんなんですね。
但し、「毎回約45%の出展者が入れ替わる」とも。一因は、出展料の高さにもあるのではないかと推察されるが、簡単に成果を得られず自らリングを降りるという方々が非常に多いのだ。
ファッション業界というのは、参入障壁は低いが、競争も激しい世界だ。プロとして認められ、売り上げを取っていくということは、やはり大変なことなのだが・・・。
今日はしかし、佐藤さんがこれまでどうやってご自身のキャリアを築いてこられたか、というお話を聞き、彼女の目線と意欲の高さに勇気付けられた方も多かったのではないかと私は思った。
鈴木村長も書いておられたが、「まず始めてみる」=初めに行動ありき、の姿勢の重要性を佐藤さんは力説しておられた。やってみて、わからないことがあれば人に教えを乞い、修正する。とりあえずは足を踏み出すことなくして、チャンスは訪れない。
重厚長大型の産業の場合は、時間をかけたリサーチが必要だったりするが、ことファッション産業に関しては、アクションの速い人でなければほとんど成功していないんじゃないかな、と私は前から思っているのだけれど、佐藤さんもやはりそういうタイプの方のようであった。
しかし、「Rooms」さんのお立場というのは、いわゆる一般的なメーカー、とか、卸、とか、小売業、といった、「作るか仕入れるかして、お客様に何かを売る」というものとはちょっと違う。
出展者とバイヤー、双方に対してニュートラルな立場にあるのだ。というか、厳密に言うと、よりお客様=バイヤー寄りの部分が強いかもしれないが、両者をn対nで結びつけるのが「Rooms」さんの役割である。
最近そういう話をある方としたばかりだったのだが、だから、出展者の商品をバイヤーさんに必死になって営業してくれる営業マンとかセールスレップ、という訳ではないんですよね。だから、出展しても発注がないかもしれない、という可能性が当然ある。
但し、「Rooms」さんの良いところは、誰にでも彼にでも八方美人的なPRを行っている訳ではなく、営業マンにはなってくれないが、展示会の環境整備、展示会としての方向付けをはっきりさせることで、結果として、質の高いバイヤーさんを集めることに成功しているところにあると言えよう。
それが、今日、佐藤さんのお話の中にもしばしば出てきた、「オリジナリティ重視」とか、あるいは、世界の展示会スケジュールにおいて一番早い時期に展示会を開催する、といったことなのだと思う。
だとしたら、当然、出展を希望される方がやるべきことは、「オリジナリティの高い商品を思い切ってぶつける」ということになりますよね。今日、イエローブース(起業間もない方向けの小型のブース)に関する質疑の中で出た通り。
私が色々な方々とお話ししていて感じるのは、「ここまでの商品を作ったら売れないんじゃないか」という心配をなさって萎縮しておられる方がかなり多いということ。特に、社内デザイナーとしてMDブランドを回した経験のある方がそうなりがちだ。
ただ、実際のところは、真のオリジナル、なんて、そんなに簡単に出来るものではないのだ。アパレル一つをとっても、洋服のシルエットそのものは1960年代に出尽くした、という話もあって、それ以降はそれの繰り返しになっているとも言える。
素材だって、自らプリントでも施さない限り、誰かとのバッティングがある訳だし、デザインにしても、どこかで見たものの焼き直し、というのが大多数なのである。
IT業界などと違って、既に成熟しているファッション業界。但し、「世界観」とか「フィロソフィー(哲学)」とか「イメージ」については、当然新しいものが出てくる可能性もあるし、メディアが発達している今は、クリエーターの人となりそのものがユニーク(例えば、「ノゾミイシグロ」なんかも一種のパフォーマンスアートに近いクリエーションだという見方も出来るだろう)、というウリもあると思う。
思い切って、なんていうと、表面的に激しい色柄やディテール過多の作品を思い浮かべる向きもあるだろうが、そういうことに限らず、透徹したエレガンス、といったものもあるだろうし、2007年春夏向けのアレクサンダー・マックイーンではないが、成熟→老いと死を見つめ、そのメタファーとしての若さ、トレンドを考える、といった発想なんかも、これからの日本には合っているように思うし。
何にせよ、普通企業内デザイナーをやっていたのではなかなかやらせてもらえないようなことを、この際ドーンとぶつけてみたらどうか、という風に、今日のお話を聞いて感じました。
但し、まだまだ新富裕層向けのマーケットというのが安定的に確立していない日本においては、クリエイティブアウト型のブランドが安定的にビジネスを継続していくのはかなり難しかったりする。今日は書くのをやめておくが、佐藤さんがセミナーの中で触れておられた「ミハラヤスヒロ」やアクセサリーブランド「イーエム」の成功には、それなりの理由があるように私も思うので、一定規模の売り上げが取れるようにしたいデザイナーさんは、全てを1人で賄うのもいいけれど、ブランディング及び商品戦略についてディレクションしてくれる第3者の指導を仰ぐ方が結果は早く出るのではないかという気もします。
それと、「Rooms」さんには、契約デザイナーを探しているアパレルさんや商社さんのスカウトマンもかなり来場しているように私は見ているので、よきスポンサーを「Rooms」の場で見つける、というのも、長く続けていく秘訣でしょう。
最後に、今日のセミナー聴講者とは逆の、ショップバイヤーさんの立場から言うと、「Rooms」さんのような展示会の存在は非常に有難いのではないかと思うのだ。東京の大手セレクトショップさんや有力百貨店さんは別だが、地方の個店さんにとっては海外の新進ブランドのエクスクルーシブを取るなんて相当に困難なことだし、昨今のユーロ高や、インポート専業卸、あるいは、ドメスティックな専門店向けアパレルさんの衰退など、本当に個店さんが商売を続けていくのには厳しい環境が長く続いている。
売り場に新風を吹き込むには、どうしても新しいブランド、新しい商品が必要だ。量販系のショップとは一線を画すためにも、「Rooms」さんのように、バイヤー本位の立場にたって徹底的にクリエーションを追求しておられる合同展の存在は、なくてはならないものになっている。
そういうニーズが存在するのだから、裏を返せば、頑張ったクリエーターさん、ブランドさんには、必ず引き合いはあるんですよね。さくらは個人的に、「○○件発注ありましたよ」といった話はよく聞いております。
皆さん、佐藤さんを見習って、勇気を持って行動しましょう!(さくらも陰のサポーターとして、頑張らねば、ネ)。
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コメント
いつも楽しく拝見しております
アパレルの端っこに生息している
アクセサリー業界で企画をしております
イーエムの成功についてのサクラさん
のご意見ぜひお伺いしたいです。
アクセサリー(特に百貨店1階の)はファッションとリンクしているようで
微妙にずれていたりします。15年ほど
前のDCブランド群をみているようで
毎日、恐怖を感じつつ仕事に勤しんでおります。暑い日がつずきます。お体に気をつけてください。
毎日の更新を楽しみにしております。
(多分、同年代)
投稿: gine | 2006年8月10日 (木) 09時13分
gineさん、コメント有難うございます。
私はアクセサリーの専門家ではありませんが、イーエムさんは、佐藤美加さんが「80型のうち1型すごく売れそうだと思う商品があった」と言っておられたのがそうだと思ったのですが、女性の一生を表現している3連リング、あの品番だけで、今後もずっとやっていけるかもしれませんね。
ジュエリーはハイエンドなブランドが典型的にそうなのですが、トレンドよりもスタイルの確立、「○○ブランドと言えばアレ」と言われるような代表作を作ることが重要なように思います。
ジルコニア、珊瑚、パールという斬新な組み合わせには、「これまで見たことのない新しい美しさ」があったのでは?プラス、1点で何パターンも楽しめる、というお買い得感。
Roomsさんイコール、アッシュペーフランスさん系のセレクトショップさんで、インポートと同様に大きく商品展開してもらえたことも、幸いだったんでしょうね。
もう1点、アクセサリー業界のアパレルとのずれは、恐らく顧客の購買動機がボーナスとクリスマスに高まるので、それに合わせた企画&生産サイクルになっているかもしれませんね。
他の雑貨同様、今はアパレルのSPAやセレクトショップでアクセサリーを購入する層も増えてきているので、そういう販路を探される
という手もあるのかも?
今日もあるデザイナーの方と、厳しい業界の現状について話したのですが、皆さん非常に悩んでおられますね。安易なことは全く申し上げられませんが、希望を持って頑張りましょう!(40代のさくらより)
投稿: 両国さくら | 2006年8月11日 (金) 01時51分
さくら様
丁寧なコメント有難うございます
そうですね、おっしゃる通りアパレル、セレクトショップ等での購買が増えているように実感します。(クロムハーツのせいだ!)というか百貨店側が売りたい物とのずれに苦労しているのかもです。
しかしさくらさんのご指摘通り、ギフト需要が強い業界だけに百貨店売り場は無視できません。そこで是非さくらさんにお聞きしたかったのですが、現在のファッションビル、駅ビルというのは回復しているのでしょうか、お暇なときにその辺のエントリーも読ませてください。
投稿: gine | 2006年8月11日 (金) 09時22分
gineさん、お返事が遅くなって申し訳ございません。
ご質問の件ですが、新聞報道に見られるとおり、ファッションビル、駅ビルさんは全体的には好調なところが多いのではないかと思います。
但し、ショップ別、業種別の動向等、詳しい情報は、そのビルに出店している企業さんしか入手できないと思います。アパレル系でも、ショップによっては苦戦しているところもあると聞いておりますので、ジュエリーでも様々なのかもしれません。
私はジュエリーの専門家ではありませんが、例えば、「スタージュエリー」「ベリテ」「ポンテベッキオ」等の宝飾系のショップの売り上げはまだ出店すれば入手できるでしょうが、個々のセレクトショップさんやアパレルさんのSPAの中で売れたアクセサリーの額は、恐らく出店していてもわからないのではないでしょうか?
競合と思われるショップ及びコーナーについては、定点観測して予想する以外に方法はないかもしれませんね。
以上、はっきりしない回答でごめんなさい。gineさんのビジネスのご成功を心よりお祈り致しております。
投稿: 両国さくら | 2006年8月16日 (水) 00時07分