ここはJR原宿駅側の代々木第一体育館。招待状を持って入場するIFIビジネススクールのKさん達を尻目に、当日券購入窓口に並ぶさくらであります(笑)。そう、今日は2006A/WシーズンのTokyo Girls Collection(東京ガールズコレクション)が開かれる日。前回と違っているのは、右手にドコモ、左手にauのワンセグケータイと、さくらがケータイ2個持ちの女子に進化したことである(笑)。
今日は、前回と違って、「アルバローザ」のショーが途中からしか見られなかったのを除いて残り22ブランドのショーは全て最初から最後まで見ることが出来た。イベント全体のフィナーレまでは居なかったのだが、参加各ブランドが総力を挙げて臨んでいると思われるこのTGC、ヤング~ヤングアダルトゾーンのこの秋冬商戦の行方に大きな影響を与えると思われるので、私なりに感じた印象について取り急ぎ記してみたい。
ポイントその1:デニムは大幅に後退。ワンピ全盛続く。
先週の神戸コレクション以上に、デニムのボトムがぐっと減っている。というか、もう、かなり皆無に近い状況になっていましたね。
今、勢いがあるのは、今夏に続いてワンピース。ダイアン・フォン・ファーステンバーグ風のラップドレスやら、ベアショルダーのセクシーなチュニック丈のワンピなど。
セクシー系ブランドは、ボトムはショートパンツ、キャンキャン系ブランドの場合はひざ上丈スカート(いわゆる「ゆらりんスカート」ではなく、タイトかプリーツ)が目だっており、パンツの場合は布帛のストレートもしくはややワイドなシルエットなものに。
ポイントその2:TGCになくてはならぬセクシー系(マルキュー系)ブランド
アパレル業界の中では未だに異端視される向きもあるのかもしれないが、実際のところ、東京ガールズコレクションはいわゆる渋谷109系のブランド、セクシー系ブランドなくしては成り立ち得ない、という気がする。今日のショーでも10ブランドはセクシー系に分類されると見てよいのではないかと思うが、それぞれに演出も個性的で、商品的にもモデルさんのボディラインの美しさ、若さを最大限に引き出す魅力的なデザインになっている。
デザインが、大手アパレルさんのブランドなとと比べて、思い切りがいいんですよね。
特に、70年代調のロック&フリーダムをセクシーにアレンジした、“アメリカンセクシー”といった雰囲気の「MAISON GILFY」、ショーツのバックプリントが印象的で、“セクシーミリタリー”旋風を吹き鳴らした「HbG」、ある意味では今シーズンのトレンドに最もマッチしているかと思えるような“ジャパニーズ・ストロング・ウーマン”向きの2ブランド、「LIP SERVICE」と「ROYAL PARTY」、エゴイストグループの下着ブランド「Ravijour」等々、力作がズラリ。いずれも、コアなファンを掴んで離さないパワーに満ち溢れていましたね。
ポイントその3:TGCで実を取るのは、CanCam系ブランド
玄人的な目で見て面白いなと思えるのは前述したマルキュー系ブランド群なのだが、お客様の反応というのは、ちょっと違っていたりなんかする。
私は2階席から1階のお客様の反応を俯瞰していたのだが、ショーが始まった時にお客様の拍手や歓声が一段と大きかったのは、アプこと「アプワイザー・リッシェ」と、「ジャイロ」だったように思う。この2ブランドと「C.C.CROSS」「Private Label」が、やはり、マス受けは良いブランドなんだと思う。
実際に来場しているお客様は、前回も思ったのだがセクシー系の人は意外と少ない。そういう客層は6時間もファッションショーなんか見ないんでしょうね。やはり、ご招待ではなく本当にお金を払って来場しているのは、CanCamの読者層(学生~23歳くらいまで)及びその下の高校生なんだろうから、ネットやモバイル通販でも、このゾーンのブランドがたぶん一番売れていくんじゃないかという気がするんですよね。
「アプワイザー・リッシェ」は、ショーの演出も上手かった。バックに映画「ティファニーで朝食を」の映像を流し、オードリー・ヘップバーンをイメージしたかのような赤と黒を基調にしたすっきりとしたコーディネートを見せた。
「JAYRO」は、トレンドのブリティッシュチェックをワンピースやスカートに多用。セクシー系ブランドに比べ露出ははるかに少なく、ほどよい個性で愛され系女子には本当に着易く買い易い服であろう。
ポイントその4:第4ステージに注目の新4ブランドが揃い踏み
今回のTGCで最も注目されていたのが、いわゆるアラサー世代、すなわち、around 30(30歳前後)向けの新ブランドが幾つかデビューする、ということであった。
それらは全て、第4ステージに固められていたのだが、「UNIVERSAL MUSE」さんと「Jet Lag Drive」さんについては、期待に違わぬ好発進をしそうだな、という印象を受けた。
「UNIVERSAL MUSE」さんの方は、ワンピースのバリエーションが非常に豊富で、しかも、1点1点手の込んだ作りだ。スクリーン越しなのでひょっとして間違っていたら申し訳ないのだが、鉤針編みのニットワンピだったりとか、総スパンコール使いのシルバーのワンピース等々、これならばお値段がヤング向けのブランドより高くても納得がいく、という感じである。
大人向けのブランドに必要な品の良さ、というものも服から漂ってくる。結婚式などのモチベーション需要にも最適だし、これはすぐにファンがつくだろうな、と思いましたね。
さくらもこちらのお洋服が結構好きで、時々買っているクラヴィスさんの新ブランド「Jet Rag Drive」は、プリントも印象的だし、やはり個々の商品の味付けに工夫が凝らされているようだ。カジュアル感が強いブランドで、“キャラクター系セクシー”とでも呼べばよいのか、クラヴィスさんならではの世界観である。
主催者のゼイヴェルさんの傘下企業のブランド「Jolly Boutique」については、オリジナルだけでなくインポートとミックスしたセレクトショップになるらしいので、正直、このショーを見ただけでは評価できないな、という感じ。たった8コーディネートしかみせないようなショーで、セレクト系のブランドの個性を見せるというのは至難の業だろう。
ワールドさんの「GROWGENIC」。このブランドは、たぶん、店頭で見ればワールドさんという企業さんの総合力でそれなりの数字は叩けるMDになっているんだろうと思うのだが、今日のようなショーの中に混ぜられると大手企業発のMDブランドの弱さというものが逆に浮き彫りになってくるように思えた(ちょっと辛口ですみませんが)。
色使いのせいもあるのだろうが、「大人っぽい」というよりは、若干「老けた」イメージになっているように見えるのは気のせいか?
あれだけマルキュー系ヤングブランドのパワーと若さを見せ付けられた時、逆に、大人向けブランドに求められるのは何なのかを、アラサーを狙う企業さん達は真剣に考える必要があるように思いますね。
それはたぶん、「品」。セクシーであっても、コンサバティブな匂いのするブランドであっても、洋服に「品」というものが必要なのだ。
それはすなわち、デザインやカラーコントロールのみの問題にはとどまらず、素材や服飾資材の良さだったり、ディテールへの拘りであったり、要するに、コストを敢えて上げても服の質を上げる、ということではないだろうか?
店頭でもう1回見てみないとわからないのだが、さくら的には、まだこれから、という印象を受けましたね。ワールドさんならではの、価格戦略というものがもしかしたら裏にあるのかもしれませんが(つまりは、安さで攻めるアラサーマーケット、ということ)、ちょいと、平凡でした。
その5:「カイラニ」が、黒くなってた!
今日、一番びっくりしたのが、「カイラニ」。伊勢丹さんのCCシンデレラシティでも大人気のこのブランドが、完璧にハワイ発のサーフ系カジュアルの世界観を脱して、黒を基調とした大人っぽいコーディネートで攻めてきたことだ。
これは、皆さんびっくりしたんじゃないだろうか。スクリーンに映っている写真だけでは素材やディテールがよくわからなかったので、さくら、早速店頭に足を運んでいろいろ物色したいと思います。
その6:益々突っ走る「ダブルスタンダードクロージング」
ダブスタこと「ダブルスタンダードクロージング」の疾走が止まらない。今回、他のアラサーブランドが幾つかデビューを飾ったが、明らかにそれらの世界観とはまた別の次元に存在する。このブランド独自のモード感に肉薄できるリアルクローズは他には出てこないのだろうか?
滝野雅久さんというデザイナーの方が、たぶん、服というものをよく知っている方なんでしょうね。トレンドの落とし込み方とか、例えば今日も、大きなチェックのニットのリボンとか帽子についていた水玉のコサージュとか見ていても、それこそヨウジやギャルソンなんかもよく見て知っているんだろうな、という印象を受ける。
さくら、もっと体重が少なければ、このブランドを絶対買うんですが・・・。でも、今回も今ドコモのP902iにつけている黒のケータイストラップに続いて、auの白のW41H用に、ダブスタのケータイストラップをTGCの通販サイトからゲットしようと思っています。
その7:もえちゃん、ひょっとして今回で最後???
何の根拠もないカンなんですが・・・。
今日のショー、第1ステージの最初のブランド「セシルマクビー」で1番目に登場したのも、第4ステージの最後の「GLOWGENIC」の一番最後に出てきたのも、押切もえさんだったんですよね。
「CanCam世代」から「姉キャン世代」の年齢になりつつあるもえちゃん、ひょっとしたら今回が最後かも、なんて、あらぬ想像をしてしまったんですが、さて、どうなんでしょうか?
オマケ:TGCの受付の方は親切でした(^^)
実は、一度代々木第一体育館を出ようとした時、こんなハプニングがあったのだ。
再入場に必要なチケットを、なくしてしまっていたのである。今日はケータイを2台も持って、カシャカシャやっていたもんだから、アバクロのバッグのポケットからすべり落ちていたことに気付かなかったのだ。
しかし、受付の男性の方は、「代わりに別の紙に(再入場の目印になる)印鑑を押しますよ」と快くおっしゃって下さいました。非常に有難かったです。
ということで、TGCのさくらレポート、いかがでしたでしょうか?これからネットで検索して、皆さんの感想も拝見したいと思います。
次回は代々木第一体育館が工事のため閉鎖となるので、恐らく別の場所で開催、ということがもう段取りされているのではないかと思う。今日ライブ直前に駆けつけた私が大好きな土屋アンナさんも、「次回は絶対出ます!」ときっぱりとおっしゃっておられたので、益々楽しみになってきた。
イベントとしては完全に確立したかに見えるTGCだが、参加するブランドの立場に立って見れば、23ブランドものライバルの中で目立ち、ファンを獲得していくのはなかなか大変なことである。自社の企業力(特に店舗数と雑誌広告にかけられる予算)を鑑み、小さな企業さん程、商品に個性を持たせなければ、埋没してしまう、というのは否めないだろう。
また、このショーにいつまでも来場しているのは、さくらのような業界ババァ(笑)くらいで、一般のお客様は半年半年確実に年を取り、ある者は‘卒業’していく。今のお客様に安心していたのでは、売り上げはじりじりと落ちていくのがヤングの世界なのである。
今日の参加ブランドの今後の推移、楽しみに見守りたいと思います。皆様、頑張って下さい!
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