ケルンメッセ TPC展急きょ中止(H18.10.18日本繊維新聞)
毎日さくらのブログをご訪問して下さる皆様、今日は一つ下のミラノのストリート・ライブならぬ、ストリート・ポッドキャストも聞いてチョ(^^)/
といいつつ、日本を離れていた間のニュースで気になったものをもう1つ。
8月18日付けの拙ブログでご紹介していた、この10月19日から21日まで上海で初開催の予定だった、ケルンのIMB(主催者はケルンメッセ、国際縫製機器専門見本市)の中国版、「TPC2006テキスタイル・プロセッシング・チャイナ」が急遽中止になった、というニュースだ。
日本繊維新聞さんには、「ケルンメッセによると、『中国の繊維産業は市場の後退に直面しており、新しい展示会を開催する時期としては適切でないと判断された」ためという」という記述が見られる。
昨日ご紹介した、島精機さんの動きなんかもまさにそうで、製造メーカーを顧客に持つ繊維機械の業界は生産の分野の変化の兆しには非常に敏感だ。
中国での生産は、成長期、安定期を過ぎて、あまりにも早く「次」の段階に入りつつあるのかもしれない。輸出を制限されている、というのが工場の経営にこたえているのではないかと思うし、数字的な面以上に、経営者のマインドに悪影響=意欲の低下、を与えているのではないかというのが怖い。
国慶節や旧正月の後に聞こえてくる「オペレーター(縫い子さん)が帰ってこない」という声は、年々大きくなっている。もはや、今の中国は安価な労働力が無限に手に入る地域ではなくなり、継続的に労働者を確保することが困難な状況なのだ。もちろん、広い国土なので地域差もあるし、個々の工場のオーナーの考え方の差、というのもあるとは思うが・・・。
日本がたどってきた道を、今の中国は猛スピードで追いかけている・・・そんな風に私の目には見える。これは、「創・工・商」のうち、一番泥臭く利益が出にくい「工」の部分を発展途上国に肩代わりしてもらおう、というビジネスモデルの臨界点が近づいてきている、ということなのだ。クイックレスポンスをあきらめ、遠隔地で生産サイクルをもっとゆっくり回す、というのなら話は別だが。
この問題を解決するのは、日本であろうが中国であろうが、他産業へシフトしなくても、繊維の製造業に従事することに希望とやりがいを見出せるロールモデルを、私達が考え出すしかない。経営者も社員も、幸せになれる道を。
幾つかのパターンがあると思うが、そのうち最も有力な方法論は、「工場は工場でありながらアパレルにもなり、自立する」ということだ。中国の工場オーナーも、懸命な経営者ならばそのことに既に気づいているはずだろうが、今、日本で自立に苦しんでいる私達は、そのことを声を大にしてまだ気づいていない中国の人達に語るべきではないか。アパレルビジネスの難しさと醍醐味、そこで上がる利益の大きさ、更には自国の衣料品を自国内で企画・生産・販売することの重要性、ファッション感度の高い商品を欧米からの輸入に頼らず自国で作ることで、国民全体の感性や文化のレベルも向上していく、ということを。
つまりは、ファッション産業が充実している国での生活は、金銭的価値だけでは表せない内面の豊かさ、人間の個性と多様性がお互いに認め合える素晴らしいものである、ということである。その根幹を支えるのは、企画や販売や広告宣伝などソフト的な面あけではない。モノそのものを生み出す製造業とそれらのソフトが一体となって初めて実現されるということなのである。
しかし、そういうきれい事が通用しない程、「お金」の問題というのは大きい。儲からない仕事は、たとえ好きでも生活のために続けられない、というのが、大半の人間の判断だと思うからだ。
考えれば考えるほど、今後の日本のファッション産業にとっては、生産の面が最大のネックとなって立ちはだかってくるだろう、というのが、私の暗い予感である。
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