「湯川鶴章のIT潮流」1周年記念・出版記念ビジネスセミナー
今夜は、大森のニフティ本社で開かれた、時事通信社の湯川鶴章さんのポッドキャスト1周年記念&翔泳社刊『ウェブを進化させる人たち』の出版記念セミナーに参加してきた。
前にも書いたことがあると思うけど、私がこのブログで週に1回ポッドキャストを始めたきっかけは、湯川さんのポッドキャスト「湯川鶴章のIT潮流」を聞いて、「こんな番組のファッション版をやれないか」と思ったのがきっかけだ。
湯川さんの書かれた本も何冊か読ませて頂いており、ジャーナリストとしての先見性と、人脈の広さに敬服していたので、今日は是非、湯川さんのライブトークを拝聴したいと前々から非常に楽しみにしていたのだ。
今日は、開始直後に湯川さんが、「私は日頃ほとんど緊張することはないのだが、今日は非常に緊張しております」と話されたのだが、それには理由があって、場内にネットビジネスの世界の著名人が非常に大勢来場しておられたのだ。
その多くが、新刊の中に登場しているインタビュイーの方々や、ポッドキャストのゲストだった方々で、例えば、ネットイヤーグループの石黒不二代さん、ニューズ・ツー・ユーの神原弥奈子さん、「Newsing」の上原仁氏、チームラボの猪子寿之氏、元シックス・アパートの平田大治氏、スクウェア・エニックスの乙部一郎氏、ナノティ(株)の服部達也氏、サイバーバズの宮崎聡氏、GMOアドネットワークスの村井説人氏等々。
ほんと、超豪華メンバーですよね。さくら、久々に本当にびっくりしました。
湯川さんの仕切りは非常に上手くて、どんどん会場の後ろの席の方にも近づきながら、既知の方々を探し出してはインタラクティブに発言を促して行かれる。その時に、「最近は何をしておられるの?」と聞かれる様子が、常に新規ビジネス、新しいこと、面白いことに飛びつき転進していく人が多いネット業界らしいな、と微笑ましく思いながら拝見していた。
湯川さんはジャーナリストなので、ご自身が主役になるのではなく、パネルディスカッションの司会者として、ベンチャーキャピタリスト2人(グロービスベンチャーキャピタルの小林雅氏と、GMO VenturePartnersの村松竜氏)に次々と鋭い質問を投げかける役割だ。
まず、ネットビジネスの世界では2007年はどういうサービスに注目しているか、という質問から始まったのだが、村松氏は、(1)ソーシャルメディアネットワーク系サービス、(2)セカンドライフ内での新規ビジネス、(3)行動ターゲティング広告を、小林氏は(1)YouTubeをベースに、その上に乗っかっていくサービス、(2)アメリカの「plaxo」や「Linked in」のように、昔から存在しているが、社会インフラ化してしまって有料ユーザーを抱え収益性が高いサービス、(3)アップル社の「iPhone」や、モバイル、「Wii」のような、デバイスがからむネットサービスを挙げた。
その後、面白い話題が次々と展開されていったのだが、たぶん他のブロガーさんでネットの専門家の方がその辺は詳しくレポートされるだろうから、私は自分が面白いな、と思った点について列挙させて頂く事にしたい。
まず1点目。「セカンドライフ」の日本語版のリリースがなかなか行われないのだが、「セカンドライフが日本で流行ると思いますか」という質問に対して場内の方々に湯川さんが挙手を求めたところ、「流行らないと思う」に手を挙げた方が圧倒的に多かった。
今日のセミナーに来られるような聴講者の方は、恐らくほとんどが「セカンドライフ」は体験済みではないかと思うのだが。これって、パネリストの小林さんも指摘しておられたが、アバターの問題が大きいと私も思っております。スタイル、ルックスを日本人向けにカスタマイズさせてもらわないと、多くの方は強い違和感を感じるでしょうね。
こうやってモタモタしている間に、「mixi」のように日本国内の企業さんが3Dの仮想都市サービスを立ち上げればそちらがマジョリティになる可能性は、私も極めて高いと思っております。
第2点目。村松さんが、「企業は今、ネット広告を出したいのに、全然広告メディアが足りない。アドワーズとオーバーチュアだけでは投入する場所が全く以って不足している」と強調されたこと。
オールドメディアの視聴率、購読率が漸次低下傾向にある今、大企業さんの広告が雪崩を打ってどっとネットに向かってきている。その受け皿を作ることの出来る企業さんには、チャンスが大きい時代なのだ。
最早、アドワーズもオーバーチュアも、過当競争気味でクリック単価が高騰し中小企業にとっては広告が出しづらい状況になってしまっている。新しい受け皿の誕生は、せっかくネットによってチャンスが広がり始めた中小企業にとっても待ち遠しいことである。
第3点目。動画投稿サイト「YouTube」の話題の延長線上で中国の話になり、小林氏が、中国にはその種のサイトが300以上もあること、投稿数は人口が多ければその分もちろん多くなる訳で、2、3年後はこの分野で中国の影響力が極めて大きくなる可能性がある、ということを指摘しておられた。
この辺の話は、リアルでも中国に頻繁に行っておられる方の多いわが業界の皆様には、強く実感出来る部分ではないかと思います。
第4点目。最後に、湯川さんの「今年はベンチャー企業への投資を増やすのか減らすのか」という質問に対して、村松氏は「減らす。アメリカのアナリストは、『まだ日本(の株価は)高いと述べている」と答え、小林氏は「ケースバイケース。会社としては、ネット系にのみフォーカスしている訳ではなく、飲食業などにも投資し、バランスを取っている。ネット系は年1、2社あれば良い」と回答されたのが印象的だった。
セミナーの後の懇親会には、お持ち帰りの仕事があったので参加しなかったのだが、うちの地元の久米繊維工業(株)・久米信行社長のメールマガジンでよくお名前を拝見していた元電通の方で、現在は江戸川大学教授の濱田逸郎さんにご挨拶出来たのは嬉しかったです(^^)。
うちの会社では最近はセミナーばかりでパネルディスカッションはご無沙汰しているんですが、たまにはファッション業界の豪華メンバーを集めて放談、というようなものも企画したいなぁ、と、今日の様子をみていてしみじみと思いましたね。久々にエキサイティングで、刺激的なパネルディスカッションを楽しみました。
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ウェブを進化させる人たち 販売元:翔泳社 |
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