元伊勢丹・三根バイヤーのWWD連載に感心
最近、WWDジャパンさんに、元伊勢丹の「リ・スタイル」バイヤーだった三根弘毅氏の短期集中連載「Me-Style」が掲載されている。
4月21日(月)付けの第3回連載「直訴しようよ!」を読んで、なるほどな、と思ったことがある。
同氏が「Y-3」を「リ・スタイル」に導入された際の前例のないプロモーションについてのエピソードが紹介されていたのだが、三根氏はその経験を引き合いに、「新しいことを仕込むには大手の場合10人以上の反対意見を覚悟すべし」と書かれていたのだ。
私は大手企業というものに勤務したことはないのだが、社会人として最初に婦人服の中堅専門店に入社し、地方都市の百貨店インショップのショップスタッフだった折に、身近な存在として地方百貨店の部長、課長クラスの方々、百貨店正社員の女性のトレーナーの方々、外商の方々などの動き方を見ていた。また、現在の小さな三セクでも、直属の上司以外にも社内の要所要所には一部上場大手企業出身者が転籍してきているので、大手企業さんの仕事の仕方、価値判断、社内コミュニケーションの仕方というのが、ある程度想像がつく。
「何かやるときに10人の反対」・・・これって多分、当たっていますよ。これは恐らく、中小企業のオーナーさんや個人事業主には想像のつかない、ほとんど180度違う価値観だろう。
ただ、三根バイヤーのコラムによると、伊勢丹さんという企業さんは、そのカベをぶちやぶろうとする若手のエネルギーを受け止めてくれる上司の存在する職場であるようだ。店頭の様子を見てもそれは想像がつくところが大いにあるが、本当に素晴らしいことだと思う。
ファッションビジネスの場合は、個々のセクションで即断即決、スピーディーなアクションで市場の変化に対応していくことが必要な部分が大きいので、大企業のセクショナリズムが企業としての成長の妨げになる部分が多いように思う。
ただ、それと同時に、資金力が潤沢で、人材が豊富に揃っていなければ出来ないことというのもファッションビジネスの世界にも沢山ある。店全体が一つのディレクションの元に幾つかの顧客群にフォーカスしたMDを組み販促を行った時のパワー、ライフスタイル全体を包括する品揃えを提供できるパワーは、小さな個店ではどうしても出しえないものだろう。
下から湧き上がってくる若手のエネルギーを真正面から受け止め、チャレンジを許す社風が、自社内はおろかファッション業界全体に人材を輩出している伊勢丹さんの強さなのだろうと、このコラムを読んで改めて感じた次第である。
PS.ちなみに、中小企業や個人は、スピーディーに動けるというのは、ある部分においては当たっているが、ある部分は全くハズレである。自分がオーナーでない場合、ワンマンでしかも誤まった経営方針の下経営を悪化させ続けているオーナー、意欲のないオーナーの下で働くというのは、非常に肩身の狭いものである。
大企業はいいか悪いか別として、そこまで誰かの顔色を見て動く必要性はない、居心地が良い部分があるのは事実だ。
よく、大手や中堅のアパレル出身者が工場に転職したりした折に、オーナーの一挙手一投足に気をつかわなければならないことで萎縮してしまい、結局続かなくなる・・・という事例があるのだが、「いい意味で距離を置く。社員を信頼し任せる」ということが出来ないオーナー社長が原因になっていることが多い。意外とご自身ではそういうことに気づかれない場合がある。かといって放任、というのはこれまた駄目なのだが。心して頂きたいものですね。
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