短繊維織物無地染め企業、加工賃20%引き上げ要請ー原燃料の高騰で限界ー(H20.7.4繊研新聞他)
川下の消費不振と、原油高・原料高で、川上の製造メーカーの苦境が続いている。
7月4日(金)付けの繊研新聞さんの「短繊維織物無地染め企業、加工賃20%引き上げ要請ー原燃料の高騰で限界ー」の記事を読んで、岡山時代にお世話になっていたH染工場さんやT染工さんが廃業(もしくは近日廃業)されることを知り、衝撃を受けた。
90年代の後半頃、今時分の季節になると暑中署名広告を頂くためこういった企業さんを1日に数十軒、自転車で回っていたのだが、そういう時に、ある染工場の会長さんが折れ線グラフを見せて下さり、「○○さん(私の本名)、加工賃はこの15年間、こんな風にずっと下がってきている。ものの値段が何でも上がっている折に、これでやっていけると思いますか?」とおっしゃっておられた姿を思い出し、胃がキリキリと痛くなった。
全国短繊維織物無地染工業組合の組合員の皆様の「加工賃20%引き上げ」の要請も、繊研新聞さんの報道によると、C重油が2004年6月対比で約3.48倍、A重油が昨年末対比で約1.61倍、染料と助剤も今年に入って10~30%も値上がりしているということで、尋常ではなく、非常によく理解できるんですよね。
もう1つのアプローチ手法としては、これはむしろ繊維機械の業界の仕事になるのだろうが、「そもそも重油を使わない染色方法」を発案すべき時に来ているのではないかという気がする。
安易なことを申し上げられるべき立場ではないが、本当に、儲からないことをやっても仕方がない。いかにして儲かる仕組みを構築するか、輸出も含めて、いかにして儲かるゾーンにシフトするか・・・それしかない、としか言いようがないのが辛い。
それと、現状の原油高には投機性を感じるが、そもそもBRICSやそれに続く発展途上国がどんどん石油を利用しはじめると、石油資源が枯渇する・・・というのは、やはり必然なので、我々先進国の人間が先頭に立って「ものを大切にする心」を持つ、ということが必要なのではないだろうか。
高いものだろうが安いものだろうが、生産者の方々が丹精込めて作って下さっているものを、粗末にしてはいけない。子供の頃、「ばちがあたる」ということをよく周りの大人達が口にしていたが、環境問題なども含めた現在の状況はそれこそ「ばちがあたりかけている」という風に見ることが出来るのではないだろうか。
ものを大切にしなければならないというのは、それが輸入品だろうと国産品だろうと同じことだと思うのだが、そういう気持ちが芽生えた時に初めて、ファッションの世界でも、食の世界と同様に、隣近所で汗水たらして頑張っておられるものづくり企業の方々への畏敬の念が芽生え、「地産地消」の可能性が生じてくるように思うのである。
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