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2008年10月16日 (木)

東京大学建築デザイン室編/難波和彦・千葉学・山代悟著『建築家は住宅で何を考えているのか』(PHP新書)

家を建てたい、という個人的な願望は、現在のように収入が非常に低いのにも関わらずファッション商品への支出を抑えない生活をしている限りほとんど不可能に近いと思って断念しているのだが、

関心はあるので、いろいろな情報は断片的にインプットしている。そういうノリで購入したこの本『建築家は住宅で何を考えているのか』は、非常に面白く、一気に読んでしまった。ファッションとの比較対照でも参考になる点が多く、知的刺激が多い本だった。

個人の住宅の形態は、日本人のライフスタイルと家族像の変化を如実に反映して変化していく。冒頭の部分で、著者の1人である難波和彦氏が明確に指摘している通り、核家族化への建築家のアプローチは大きくいって2つ存在し、

1つは、「かつての運命共同体であった核家族ではなく、緩やかな共同体となった家族を包み込む存在」(同書P14~15)、すなわち、「解体に向かっている家族をつなぎ止めるような住宅」(P15)であり、

もう1つは、「共同体としての家族ではなく、個人の集合としての家族をはっきりと示すような住宅」(P15)、つまりは、「居間を中心とする住宅から、個室を中心とする住宅」であるようだ。

こういった問題の立て方、そして、この本に事例として登場する非常に個性の強い住宅の概観及び内部設計に、違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれないが、個人の住宅は公共建築などと違い、施主である個人の意向が強く反映できるものであり、大概において、著名な建築家に自分の家の設計を依頼できるような人は、都市部在住の富裕層もしくは新富裕層、感度の高い層なので、「時代」の抱える問題がそういう「個」の個性、さらには建築家そのものが持つ個性とあいまって、より強く、先鋭な形で呈示されている、という風に思った方がよいだろう。

この、「家族像とプランニング」という、本書全体を貫くとも思われるテーマを冒頭に打ち出し、著名な東孝光氏の「塔の家」及び安藤忠雄氏の「住吉の長屋」などを含んだ最終章の「住みつづける家」に至るまでの間に、

「ライフスタイル」「集住/かたち」「街/風景」「工業化と商品化」「リノベーションの可能性」「エコロジカルな住宅」「素材/構法」「ちいさな家」という8章に分けて、現代の著名な建築が紹介されている。

この本を読みながら感じたことは3つほどあって、

1つは、地方の私の実家の周辺でも、キネマ世代や団塊の世代のサラリーマン層の方々が苦労して建てられた家が、子供達が成長し都会や地方都市の別の場所で就職したり、結婚して家を出てしまったりして、全員が戻ってこられなくなり、

結局子供達も別の場所で家やマンションを購入し、元の家に住んでいるのはおじいちゃんおばあちゃんだけ(さらにはそのお父さんorお母さんも高齢でご存命だったり)というケースがかなり存在し、

木造住宅の寿命の問題だけではなく、農業から離れてしまったことが「家はその人1代のもの」的な状況を生み出している・・・ということを思い出したこと。

ただ、自分の親達の世代は、若い頃は前を向いて走るのに懸命で結果的に最後には「夫婦に返る」ということについて最初の時点ではひょっとしたら無自覚だったかもしれないように思うのだが、自分と同年代の人達、あるいはもっと下の世代の人達は、その辺の問題についてどのように考えているのだろうか、ということ。

結婚年齢そのものが遅くなり、ただそれでも親の代から受け継ぐ不動産や家というものがそれなりにあったりとか、「ルームシェア」とか、私も以前知人から「こんな住み方もあるよ」と聞かされたことのある「コーポラティブハウス」まで、「夫婦」にはなっていない「個」を受けとめてくれるものまである。

とはいえ、そういう個の自立は、あくまでも、「お金を持っている」から可能なのであって、昨今の蟹工船ブームではないが、低所得者はホームレスになるしか自立の術がない、ネットカフェを住処にというのも、今の日本の現実であったりもするのだ。

個及び夫婦の自立というのは、かつては厳しい、寂しいものであるというイメージが強かった。ところが現在は、うちの業界でもかなり前からファッションジャーナリストの平川武治氏が指摘していたことだが、「街」が家の機能を代替するので都会の家は小さくて済む、というところがあるし、この本の中にも出てくるが、最近はネットが発達してきたので、SNSやメタバースの中で人とゆるくつながったり、仮想の家を持つことも出来るようになっている。

一生リアルの世界では自立しないままでも過ごせる(orお金がないため自立できない)時代における個人、夫婦、家族とは何なのか、そして、そういう時代に求められる家は?

この本の中に呈示されている幾つかの個人住宅は、どれもひとつの例でしかなく、答えは、今という時代を生きる個人と家族がそれぞれに自分のライフスタイルや経済状況と照らし合わせながら模索していく他ないのだろうと思う。

そういう思いを具現化するお手伝いをしてくれるのが、プロの建築家の知見なのだろう。

たぶん、こういう方々に自分の家を依頼できたら、セッションする中で自分達が明確に自覚していなかった欲望や問題が見えてきて、それに対する解決方法も、浅い知識の範囲では思っても見なかったような形で呈示されたりして、

本当に知的好奇心や生活をもっと楽しくしようという思いが刺激され、どんどん深まっていくような気がする。

失敗も、もちろんあるとは思うんですが・・・。

やはり、家を建てるのっていいなぁ、うらやましいなぁ、と、改めて思いました。エネルギーも非常に要ることだと感じるんですが、こういう楽しみを知らずに死んでいくのは、かなり寂しいことだなぁと。

私の家は、私がつくる。それに向かって、努力するしかないのだ。

あきらめずに、自分の夢想プランだけは、いろいろ作ってみよう、リフォームなども含めて、多様な可能性を探ってみよう、そして、夢を夢に終わらせないために収入そのものをもっと上げる方法も考えようと、改めて感じた次第である。

第2は、田舎育ちの人間にとってはかなり衝撃なのだが、この本の中に登場しているのは、小さい家が、非常に多いんですよね。

敷地面積の小ささ、そして、様々ないびつな形になっていたりする問題をうまく解決するのが、都市部において個人住宅を請け負った建築家の腕の見せ所、ということなのだろう。

そういう、ある種のソリューション・サービスというのは、ファッション業界でも、高齢者や障害を持った方に対するユニバーサル・ファッション、個別ニーズに応じたカスタマイズなどで、ビジネス化が可能なのではないかと思う(但し、富裕層の高齢者、障害者の方向けということでないと、ペイしないと思うが)。

第3は、「エコロジカルな住宅」の章にあった、エコロジカルなデザインに対する2つの潮流の問題である。

「地球環境を脅かしているのは強大化したテクノロジーだが、それを解決するものテクノロジー以外にはないと考える」(同書P182より引用)「エコテック」という考え方と、

「テクノロジーの進展自体に問いを投げかける。これまでのようなテクノロジーの急速な進歩を緩やかにし、可能ならば過去のテクノロジーへ回帰することが必要だと考える」(同書P182より引用)「バウビオロギー」という考え方。

最近思っていたんですが、ファッション業界では建築の業界で言うと「バウビオロギー」的な考えに近いエコブームの追い風が続いているんですが、

さくら的にはそういう猫も杓子もオーガニック・・・という単純思考には、ちょっと「うーん」と首を傾げざるを得ないところもあるなぁ、と思っていたんで、

もっとうちの業界でも、合繊メーカーさん辺りから、「エコテック」的な発想でのアプローチも欲しいなぁと。多様な視点で研究及び商品開発を進めていく必要があるのではないかと思いながら、その章を読みました。

追記:著者のお一人である、山代悟氏のブログ「ヤマシログ」を発見致しましたので、僭越ですがリンク&トラックバックさせて頂きましたm(__)m

ヤマシログ (下のリンクは山代氏ご自身が書籍をご紹介なさっておられるエントリのリンクです)

http://d.hatena.ne.jp/syamashiro0531/20081001/1222868462

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著者:難波 和彦,山代 悟
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コメント

はじめまして。『建築家は住宅で何を考えているか』の著者のひとりである難波和彦です。山代悟さんのブログからのリンクで貴方のブログを知りました。本書に関して、とても的確なコメントをいただいたことを感謝します。とくにエコロジカルな住宅に関するコメントにはまったく同感です。僕の本『箱の家ーエコハウスをめざして』もよろしく。

難波さま、初めまして。
わざわざ拙ブログにお越しくださり、ありがとうございます。

建築関係の本は、趣味で時々読んでおります(今もたまたま1冊読みかけているところですが)。ファッションやインテリアの分野の動向との比較が、自分にとっては一番興味のあるところです。

難波さまの『箱の家ーエコハウスをめざして』も、是非拝読させて頂きますね。

難波さまの益々のご活躍を、心よりお祈りしております。ありがとうございました!

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