日本経済新聞夕刊・村上隆氏への取材記事「『アートバブル』も終わった」
今日10月29日(水)付けの日本経済新聞夕刊の最終面「夕刊文化」の欄に、現代美術家の村上隆氏に、日経さんの記者・白木緑氏が取材しまとめた記事「『アートバブル』も終わったー生き残るのは独創性ー」が掲載されていた。
残業ゴハン(TT)を食べながら何気なく読んでいたのだが、さすがは村上氏、と、膝を思わず叩きたくなるようなコメントを出しておられましたね。
少し記事を引用させて頂くが、
『最近、現代美術のマーケットでも、新作ではなく、少し前に発表された作品にどんな値がついているかを注意して見ている。すると、ジェフ・クーンズ(さくら注:パピーちゃんかわいいですよね)やリチャード・プリンスなどのコンセプチュアルな戦略を展開している作家は人気も価格も右肩上がりだが、アンドレ・セラーノやドナルド・バチュラーなどは、継続的な戦略がないため、値もつかなくなっている』
・・・とし、さらに、
『日本なら白髪一雄や李兎煥(さくら注:李氏の作品、好きです)の作品が評価を復活させている。』
・・・と続く。
さすがに、同業者の動きをよく見ておられますよね。
ちなみに、村上氏が指摘しているアートマーケットでの評価を、如実に知ることが出来る方法がある。
皆様、Googleに「ジェフ・クーンズ」「リチャード・プリンス」と入力してみてください。コチラのサイトがアドワーズ広告を出稿していることがわかると思います。
ところが、「アンドレ・セラーノ」「ドナルド・バチュラー」には、モチロンこのサイトさんは見向きもしておりません。
ちなみに、今朝の日経産業新聞さんで、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の特集の中でもこのサイトさんは紹介されていましたよね。さくらのような庶民には全くご縁のない世界でありますが(笑)。
この記事の中で村上氏は、
『オリジナリティーさえあえば、作品は必ずしも今の時代に評価されなくたっていい。十年くらい後に、必ず目利きの美術評論家や美術館が再発見し、マーケットにプレゼンテーションしてくれる。僕もそこを目指して仕事をしている』
・・・と言い切っておられるんですが・・・。
この点が、アートとファッションを分かつ最大のポイントになるところだろうと私は思っております。
ファッション業界に踏みとどまるかアート側に近い立ち位置にシフトするか、迷っておられるファッションデザイナーの方は、この辺の違いを自分はどちらが好きなのか、どちらの業界構造の方が自分のクリエーションにとってより有利に左右するのか、社会に与えるインパクトと金銭的な対価、そしてそれが自分(もしくは自分の家族、子孫)の実入りになってくる時期について、真剣に考えた方がよいのではないか?
そして、この問いはデザイナーだけでなく、返す刀で「ファッションジャーナリスト」と称する人々にも突きつけられているように私には思える。
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