2009年繊維ファッション業界大予測(上)
皆さーん、改めまして明けましておめでとうございます。本日の午後には岡山市内の幾つかの商業施設にも寄ってから、新幹線に乗って今東京に戻って参りました。売り場の空気を吸えば、正月気分は完全に抜けて、仕事モード全開です。早速、今年2009年の繊維ファッション業界がどういう方向に向かうのか、私なりの「勝手に大予想」の内容を綴ってみたいと思います。
なお、ここに書いてあることは、私一人が独創的に考えたアイデアでも何でもなく、本業やジャーナリスト業の方でお世話になっている多くの業界の皆様の知見や、アンテナが立った皆様方が既にそういった方向に向かって走っておられるのを見聞きした内容をまとめたものです。
こういう厳しい時代に、私が元気に活動できるのも、そういう諸先輩方、友人・知人の皆様のお陰だと思っております。心より感謝申し上げますm(__)m
さて、今年は、【川上】【川中】【川下】【メディア】【クリエーター】の5つの分野について簡単に予測を述べた後、経営戦略や商品企画を考える上で重要だと思われるキーワードを挙げさせて頂こうと思います。
よかったらぜひ、皆様のご意見も聞かせてください。よろしくお願いします。
1.分野別動向予測
【川上】
・商社・・・企業間の戦略格差一層強まる(収益性の低い繊維部門から一層手を引いていく企業、強い財務体質を背景にM&Aやリテイル、ネット通販・TV通販を積極的に進める企業、OEMに徹していく企業の3タイプに分かれる)。
・有力テキスタイルメーカー・・・円高は輸出には不利だが、国内トップゾーンの企業はプルミエール・ヴィジョンなどの海外展示会への出展+営業活動で欧米のラグジュアリーブランドに拡販、という戦略を取り続ける。それをやりながらも、次の市場である中国、ロシア、中東などの新興国のアパレルをどう攻略するかが課題。
・合繊メーカー・・・要注目!自動車産業の不振は、この業界に痛打を与えている。大手(東レ、帝人ファイバー)がこれからどのような方向で技術開発、マーケティングを行っていくかに注目したい。
【川中】
・ミドルプライス以上の価格帯のアパレル・・・不景気による消費不振で特に旧来型の百貨店アパレル、量販店アパレル、専門店アパレルの売上高が苦戦。
・ロープライス(低価格帯)アパレル・・・渋谷109系ブランドを筆頭に5,000円でおつりのくる商品を揃えた高感度高速回転型アパレルの多くは、不況の影響は受けにくい。デニムというキーアイテムを武器に、SPA化を進めるバロックジャパンリミテッドの快進撃は続く。
・ナチュカジアパレル・・・季刊の雑誌で10万部という、イイ感じの規模、ゆるりとしたペースで広がっているテイストなので、流れは継続しそう。
【川下】
・ラグジュアリーブランド・・・円高差益還元の名目の下に値下げするブランドは更に増えるが、売上高の苦戦続く。広告プロモーションは日本から中国を筆頭とする経済が好調な国に一層シフト。地方の採算性の悪い店舗の閉鎖も始まるか?
・百貨店・・・いち早く大手同士による業界再編は終えたものの、“冬の時代”は続く。
・駅ビル・・・百貨店よりは安く、便利な場所にあって営業時間が長い駅ビルもまずまず堅調なのでは?最近、東京だけでなく横浜でも今回岡山でも感じたが、元々は若い客層が多いというのが強みだったが、娘さんに連れられて百貨店ではなく駅ビルに向かうお母さんが増えているのではないかという感じも受ける。ショップスタッフのレベルが上がり、今の時代数少ない勢いがある業態の1つ。
・海外ファストファッションブランド・・・「zara」「トップショップ」「H&M」に続いて、2009年は「フォーエバー21」「アバークロンビーアンドフィッチ」の日本出店が決まっている。また、「H&M」に関しては、大阪出店、郊外型SCへの出店も発表されており、本腰を入れた多店舗展開になることが見込まれる。
海外ファストファッション企業の数が増えることによって、バタくさいデザインへの違和感を日本人が徐々に感じなくなってくる筈。その前にもう既に素材の善し悪しへのこだわりが薄れてしまっているヤングに対し、安さと目新しいデザインをスピーディーに提供し、ローコストを維持できる仕組みを確立できている企業ならば、多店舗化できる可能性は大。
・ユニクロ・・・不況はユニクロにとってはこの上ないチャンス。2009年は再び、M&Aもありか?(アナリストの皆様、本気で読まないで・・・笑。根拠のある記述ではありません。単なるヤマ勘です)。
・国内ロープライス(低価格型)SPA・・・「ローリーズファーム」「アースミュージックアンドエコロジー」などを筆頭にした、地味系カジュアルは、ピュアヤングから団塊ジュニアくらいまでの支持を幅広く集めて、益々元気になるのではなかろうか。何と言っても安い、そして、とんがりすぎておらず、さりげなくおしゃれ、着回しも効きやすい、近場で買える。
この辺の小売り発のブランドは、モードという感覚が元々なく、顧客の動向を見ながら、ある時はアメカジっぽかったり、ある時はフレンチカジュアルっぽかったり、今はナチュカジの影響が相当あったりと、融通無碍に変化する力があるところが強い。非常に日本的(土着的)で、「セクシー入ってない」ので、外資系SPA(外資系ファストファッションブランド)の影響は当面はあまりないのではないかと私は思う。
・セレクトショップ・・・要注目!未曾有の不況に対し、そして、市場全体が低価格化していく中で、今後の方向性をどのように持って行くのか、これから益々、企業によって戦略の差が拡大するのでは?私は強く注目しています。
・ネット通販・・・本ブログでは取り上げません{近日中に『両国さくらのネットで☆ファッション☆』(http://www.apalog.com/sakura)の中で触れたいと思います}。
長くなってきたので、続きは明日以降に!
« 謹賀新年2009 | トップページ | 2009年繊維ファッション業界大予測(下) »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント