2009年繊維ファッション業界大予測(下)
昨日のエントリの続編「2009年繊維ファッション業界大予測(下)」です。
今日の記述には繊維以外の、ライフスタイルビジネス全般、そして、ファッション業界の販促に欠かせないメディアに関する領域を含めております。
【メディア】
・4大メディア・・・いわゆる4大メディア(新聞、TV、ラジオ、雑誌)は不況とネット広告へのシフトによる広告費減に苦しむ。全国紙の解体・再編がそろそろ始まるかも?2008年に続き、雑誌の休刊が相次ぎ、ファッション雑誌も一番誌からせいぜい二番誌への読者の集中が進む。
・ネットメディア・・・大手〜中堅企業の広告戦略がインターネットに一層シフトする。PPC広告、ポータルサイトへのバナー広告等以外に、自社の独自ドメインによるネット通販を一種のメディアとして強化する動きが進む。ファッション分野の大手ブランド集積型サイトが消費者のくちコミも活用しながら巨大メディア化する。先行する大手を追うファッションビル系のサイトによる、リアルイベントと連携したプロモーションが活発化する。
・個人・・・マスコミ出身者、フリーのエディターやカメラマン、クリエーター、個店型専門店、学生などの中から、尖った個性もしくは編集力をもつ人材複数名の連携による新しいネットメディアが誕生するか?
【クリエーター】
・売り上げ不振に悩み、集客を強化したい百貨店業界や、ファッションビルなどからの、催事の勧誘は返って活発化する(条件の善し悪しは別として)。
・厳しい局面を打開するため、複数のクリエーターが集まって合同で販売イベントを行ったり、ショールーム兼セレクトショップを共同で出店するケースが増える。
・メディアの項目で述べた通り、Webでの発信を強化するクリエーターが増え、Web上での仲間同士の連携も増える。クリエーターブロガーの中から出版につながるケースも。
・不況で会社が暇になるため、レベルの高い週末クリエーターが登場する可能性あり。ナチュカジブームに乗った30代の主婦クリエーターも引き続き注目される。
・アパレルよりも、1点単価が低い靴下、キャンドル、アクセサリーや、ナチュカジ系の本物志向、長く愛用できるバッグ、革小物、靴、ストールなどの単品、食やインテリア、生活雑貨寄りのライフスタイルを豊かにするという切り口が有望か。
年末年始の一般紙や業界紙各紙の論調、そして、皆様から頂いた年賀状や年賀メール、年賀ブログ等を見ながら感じたのですが、総論としては、昨年よりも実際に多くの人の所得が下がってくる今年からが、単なる心理的な不景気ではない、本当の不景気の始まりで、一層厳しくなる、ということにならざるを得ないのではないかと思います。
ただ、ファッション業界及びファッション業界周りの全ての企業及び個人事業主が厳しくなっていく訳ではなく、
「資金力があってファッション感度が高い商品をタイムリーに低価格で提供できる大手企業」「資金力があってコモデティ商品を低価格で提供できる大手企業」にとっては、逆にお客様を集中的に集めることが出来る絶好のチャンスですし、
「財務体質が強いため、一時的に数年間売り上げを落としたとしても耐えることが可能な大手企業」ならば、この未曾有の不況期は、この間経営が悪化しているが、市場性が高く立て直しが可能な企業をM&Aするこれまた絶好のチャンス、ということになります。
また、小企業及び個人事業主でも、「財務的な背景を有する(小さい規模なりに資金調達力があり会計管理をきちんと行っている)」「商品力が高い」「不況期でも買いやすいテイスト、価格帯にはまっている」「しっかりした事業計画を有する」場合は、有力百貨店と言えども極めて厳しい状況に陥っている今だからこそ、売り上げを確実に作ってくれる力のある小企業、個人事業主にオファーが集中する、ということになってくるのではないでしょうか。
今年のファッション業界では、企業規模の大小を問わず、「力のあるものへの集中化」が雪崩を打って起こってくるのではないかと私は思っております。
逆に、企業さん、個人事業主さんの立場から見ると、自社が「財務体質が強いし、この不況だからこそ、売り上げが伸ばせそう」なのか、「不況だけど、意外と影響は受けにくい」のか、「売り上げが大幅減しそう」なのかによって、取るべき戦略は変わってくると思います。
2.2009年ファッション業界のキーワード
次に、今年経営戦略や商品企画を考える上で意識すべきポイントではないかと私が思っているものを列挙したいと思います。
・ライフスタイル(くらし)の変化
・エコ
・ネット
・新興マーケット(特にアジア)
「ライフスタイル(くらし)の変化」の中では、昨年からみられる「巣ごもりブーム」→おうちカジュアルとか、ナチュカジ以外に、今年は「NPO」とか「医療、福祉」という要素が浮上する可能性があるのでは、と感じています。
ファッション業界の一般的な企業が比較的苦手とする事柄だと思いますので、意外と、業界外から参入し成功する人が出てくるかもしれませんね。
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