庶民の味方・GMS(DS?)の「多好又多(TRUST-MART)」
中国レポートの第2段です(気管支炎の薬のせいか異常に頭がもうろうとしておりますので、乱文をお許しください)。
うちの会社のレギュラー講師陣のお一人である、事業開発研究所(株)代表取締役・島田浩司先生から、「上海動物園の側に、郊外型のモデルケースになるお店があるから、見に行ってきたら」と言い渡され、25日(土)に行ってみたら良いお店だったので、
「頑張っているなぁ。これが中国系のお店だったら凄いことだなぁ」と思っていたら、
この「多好又多(TRUST-MART)」さんは台湾系なんですが、既に1996年の時点でウォルマートさんの傘下に入ってしまっていたようで(日本の西友さんのようなものですね)、さくら的には、「なーんだ、やっぱり」という気がして、ちょっと感激が半減したような気分になりました。
(注:詳しくは、PI研究所の鈴木聖一氏のブログ「食品スーパーマーケット最前線」に記されておりますので、是非ご高覧下さいませ。プロのコンサルタントの方によるブログで、非常に読み応えがありますね!)
とはいえ、いいお店は、やっぱりいいんですよ。このお店のポジションが、中国におけるGMSとみなすべきなのか、DSと見なすべきなのか、議論の分かれるところでしょうが(私の考えは、中国においてはこのお店よりも安い露店のようなところが沢山存在するので、GMSと見るべきなのかなと思ったのですが)、
何はさておき、とにかく中国社会で多店舗化し勢力を拡大しつつあるこのお店について、今見てきたことを感じたままに記しておこうと思った次第です。
こちらに入ったのは、4月25日(土)の朝の10時15分から11時前くらいまでの時間帯だったんですが、そんな時間にも関わらず、もうかなりお客様が入っていました。
来店の大半は、自転車かバイク(中国の生活必需品ですね!店内でももちろんしっかり品揃えされておりました)。駐車場は30台分くらいあったんですが、半分くらいしか埋まっていませんでした。
客層は、男女半々くらい。ご夫婦(あるいは夫婦プラス子供連れ)、女性の1人客というのは日本と同じですが、中国では日本以上に男性の1人客(それも、40代、50代くらいの)が多くて、女性の1人客と来店客数はほぼ変わらない感じが致しました。男女平等の国なので、家事にはどうやら抵抗がないんだろうなといった雰囲気であります。
店内は、1Fは宝飾品やアパレルなどのテナント階、2Fが家電、衣料品、日用雑貨、自転車バイク、文玩具、3Fが食料品という構成です。
感心させられたことは何点かあって、
第1は、MD(品揃え)が、地域の庶民のニーズにマッチしている(であろう)と思える、絶妙の内容になっていたこと!本当に、一生懸命商売なさっておられるなと、好感が持てました。特に、衣料品に関しては、期待していなかったんですが、いい意味で裏切られました。
スーツやよそいきの品揃えは一切なく、デニムやブルゾン、Tシャツなどを中心とするカジュアルアウター、インナー、ナイティ、靴下の紳士婦人子供、という構成になっております。
特に、下着は、サイズバリエーションも含めて、非常にしっかりと揃っていました。それから、メンズの甚平とか。ここに来れば、ブルーカラーの家族が生活していくために必要にして十分な商品がきっちり購入できます。変にこじゃれたMDを取り入れようとして方向性を見失っている日本の量販店さんにも、見習ってほしいなという感じすら受けましたが。
一方、食品に関しては、加工食品系は確かに日本よりはまだまだバリエーションが少ないなとは思ったのですが、一番必要な生鮮三品(肉、魚、野菜と果物)が充実していました!もう、この場でリサーチをやめてすぐにお買い物して日本まで持って帰ってお昼ご飯にしたい(笑)というくらいでしたね。
お肉売り場は、壁面のガラス張りの加工場で実演販売をなさっておられるスタッフの皆さんの声が大きくて、その元気さで非常に多くのお客様を周囲に集めておられました。鶏肉(たぶんもも肉?)をカットしてもらったものを、2袋買い物かごに入れておられる方が非常に多かった(1週間分?)。
お魚は、お肉ほどの品番数ではなく、なおかつ日本では見かけない種類のものもいろいろあったんですが、本日のお買い得商品であるうなぎを、これまた沢山のお客様が買っておられました。
そしてお野菜と果物ですが、お野菜の方はみつばに似た本日のお買い得品と大根(日本のものより太くて短かったです)、それから、果物は林檎とバナナ!
バナナに関しては、まだ10時半頃なのに、既に品薄な状態になっていて、本当に次から次へと飛ぶように売れておりました。林檎は、多分日本人の目線で見ると、許容できないレベル(日本の林檎の方がはるかに大きくて傷もなくて美味しい)という風に見えたんですが、ここで売られていたバナナは、色艶の良いとても美味しそうなもので、「確かにこりゃ、売れるわな」という雰囲気でしたね。
食と衣のベーシック商品の品揃えの精度を上げ、お客様を呼び込む。これは、GMSの商売の基本中の基本だと思います。
第2は、陳列のテクニック。特にうまいなと思ったのは、1Fから2F、2Fから3Fには動く歩道で移動するようになっていたんですが、2Fから3Fの方の歩道の脇には、ずらりと子供さんが好きそうな袋菓子が並べられていたことです。
下着のコーナーは売り場スペースを無駄にしないような高さのある什器でしたが(高い什器は、昔岡山からスタートしたイオンさんのメガマートを思い出させるような感じでした)、ちょうどゴールデンラインというか、一番見え易いところに売れ筋らしきものをうまく配置しておられましたし、
それから、テナントさんだと思いますが、お財布などの革小物のディスプレイが、非常に奇麗に整えられていました。
第3は、3Fにはデジタルサイネージ(電子看板)が、ずらりと30台以上も揃って、同じ動画を放映していたこと!そのうち3分の1は、日本のパナソニックのものだったんですよね。
これには、もう、本当に驚いてしまって、「中国と日本は、ITに関してはほぼ同期的に進化している」という現実を、まざまざと見せつけられたように思いました。
ちなみに、お客様の買い方は、はっきりと2極分化していて、買い物かご一杯にあれこれ買い込んでおられる方が約半分、残りは、お米だけ、とか、お肉2袋だけとか、必要最低限のもののみをかごに入れておられました。
想像ですが、後者の皆さんにとっては、このお店以外にお買い物をなさっておられるお店があるんだろうという気がしました。
後日外観のお写真もアップするつもりですので、ぜひご覧頂きたいと思います。
さくらの感想ですが、我々の業界の多くの皆様が、どうしても、「トレンド」とか「感性」に走りがちだと思うんですが、
その一方で、「生活必需品としての衣料品」というものの需要も、確実に存在します。
大多数のお店さんが、ファッションファッションしている隙をついて、そういう生活必需品でご成功されたのが、ユニクロさんであり、無印良品さんだと思うのです。
ただ、中国の庶民は、正直、まだ全然ユニクロさんとかムジのレベルではなく、30〜40元でまかなえるブルーカラーのための肌着とアウターが必要とされております。
日本の企業さんがここに参入するのは、M&Aという方法を別とすればコスト的に実際のところほとんど不可能だとは思うんですが、
原点に返るという意味でも、そして中国マーケットのボリュームゾーンの将来的な方向性を予見するためにも、是非この売り場をご覧になられる価値はあるのではないかと私は思いました。
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