皮産連主催、ボン・マルシェメンズのジェラルド・テッソン氏セミナー
先週の金曜日、5月22日の話題にプレイバック致しますが、いよりんこと井寄奈美さんの出版記念パーティーにお邪魔する前に、私は別のパーティーというか交流会にも1軒顔を出していたんですよね、実は。
22日には、浅草ビューホテルで、日本皮革産業連合会さん主催の「JLIA国際戦略セミナー」が開催されており、フランスの百貨店ボン・マルシェのメンズファッションコーディネーター、ジェラルド・テッソン氏の講演会と、テッソン氏を囲む交流会が開かれていたんですが、事務局の方のご厚意で特別に参加させて頂くことが出来ました。
なかなか含蓄に富む内容でしたので、ご聴講された方は非常に幸運だと思います。
まず、これは日本と全く同じだと思ったんですが、テッソン氏は非常にお洒落な方でした。ご自身がスタイリッシュでかっこいい・・・これは、カリスマバイヤー、カリスマコーディネーターたる必須条件だと私は思っているので、氏が壇上に立たれた瞬間に、「嗚呼、今日はいいお話になるだろうな」と。
その後のプレゼンの内容にも際立った特徴があって、パワーポイントで作成された資料には、テキスト(文字)がほとんど記されておらず、ビジュアルのみで構成されておりました。
これは、フランス語が通じない国での講演だからという配慮もあってのことでしょうが、美的感性が重視される我々の業界ならではの表現方法で、そのビジュアルがまたものすごく洗練されているんですよね。
1枚1枚の画像を見ていくだけでも、今のボン・マルシェがLVMHの傘下に入ってから面積の狭さを逆手にとってセレクトショップ的な百貨店に変貌しているのだということを十二分に感じ取ることが出来ました。
ただ、セミナーの中では、氏は有名ブランドの話と自社オリジナルの話に触れただけで、新進デザイナーやクリエーターについては全く言及されなかったので、
懇親会の時に名刺交換させて頂いた際に、「新進クリエーターのブランドをボン・マルシェさんは扱っておられますか。また、扱っておられる場合、仕入れを決定する際の基準は?」と伺ったところ、
「当社では○○、××、△△(注:3名共私が知らないデザイナーでしたが)の商品を採用しています。売り場では、売り上げを積むことと、新しいものを求めるお客様の期待に応えること、その双方のバランスを取る必要がありますが、私の仕事は後者の方の担当になります。取引を決定する際に重視していることは、このデザイナーの個性的で良いクリエーションは一時的なものではなく、長期的に続くだろうなと思われるかどうかです」と答えて下さいました。
ちょっと余談になりますが、テッソン氏の講演を伺って初めて知ったんですが、ロンシャンが今シーズン打ち出している「IT BAG」には、フランス語の「HIT BAG」との掛け合わせ(フランス語ではHは発音しない)と、もう1つ、マグリットの「これはパイプではない」をもじっているという、2つの意味があるらしいんですね。知的な言葉遊びがフランスらしくて楽しいです。
他にも、売れ筋商品のディテールについての微にいり際に穿ったお話の連発で、さすがに一流店のバイヤーさんだなと感心致しました。その一方で、マーケットに対する冷静な視点(例えば、フランスでは靴はオックスフォードに比べて外羽根式のダービーの方が良く売れるが、当店の場合は例外的にオックスフォードも出る。但し、店頭の型数は減らして奥に在庫を持ってリクエストがあったら出すようにしている等)も感じられ、小売業には感性と科学のバランスの良さが求められるというのは洋の東西を問わないなと思った次第です。
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