日経ビジネス6月1日号ユニクロ特集を読んで思ったことー世界No1はそんなに簡単ではない!ー
さくらのブログを読んでおられる皆様の中にも、今週号の日経ビジネスさん(2009年6月1日号)をお読みになられた方が多いのではかと思います。
品質と価格にこだわるユニクロを、フォード・モーターを追い抜いたトヨタ自動車になぞらえていること、及び、後継者問題の2点に大きくフォーカスなさっておられるところが、一般誌さんらしいなと思って興味深く読ませて頂いたんですが、
さくら的には、ユニクロさんは確かに素晴らしい企業さんなんですが、「2010年に売上高1兆円、2020年に世界一」というユニクロさんの目標達成は、そんなにたやすいことではないだろうな、という感を受けました。
トヨタさんは、日本より大型で高価格、しかも性能はイマイチの自動車に慣れていた欧米の市場に「下」から攻めて行った訳ですが、
この特集のインタビューの中で、ファーストリテイリングCEOの柳井正氏は、日経ビジネス編集長・寺山正一氏の「2020年にアパレル世界一という目標を掲げられています。10年後、海外売上高の比率はどの程度まで高まっているのでしょう」という問いに対して、
「国内2割、海外8割くらいになると思います。そのうちアジアがかなりの部分を占めるでしょう。アジアの主要国に全部出店して、そこでナンバーワンになる。今までは欧州や米国の首位が世界一でした。これからは、アジアで首位に立つ者が世界一になるんじゃないかなと思います」とご回答なさっておられます。
ユニクロが日本で成功したのは、成熟社会でこれまで高い衣料品をあれこれ買ってきていて目が肥えている日本の消費者を、「下」から奪取したからです。この勝ちパターンは、かつての自動車産業と確かに同じなんですが、
今の中国に行けば皆さんお感じになられると思うんですが、彼の国でユニクロさんは決して安い商品ではないんですよ。
ここでは、今はまだ、ブランドビジネスで憧れ感を植え付けて買ってもらわなければ、「下」から勝ち上がることは到底不可能だと思います。
欧米での戦いを避けてアジアでイニシアティブを取ろうと思えば、同社が実はあまり得手としないマーケティングや、根本的なビジネスモデルの見直し(ユニクロとは別の、現地水準から立ち上げる新ブランド)等が必要になってくるのではないか、なんて、ちょっと思いました。
日経ビジネスさん流に言えば、現在、中国やインドなどの自動車メーカーのキャッチアップに怯えるトヨタ自動車さんと、ユニクロさんの立場は全く同じではないかと。過去においては、GAPやZARA、H&Mなどをベンチマークし、追いつき追い越せという立場だったファーストリテイリングさんは、現在は中国の安徽省辺りで東の空を見上げながら世の中の不平等さに唇を噛み締めている縫製工場に虎視眈々とベンチマークされているだろうと私は思っておりますので。
2020年といえば、もう間違いなく柳井CEOは後継者にバトンタッチしているであろう時期です。ご自身の描く壮大なビジョンを達成するためにも、やはり、後継者の育成は不可欠だという風に思いました。
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