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2009年7月 5日 (日)

法政大学セミナー「中国家電品流通の構造変化ー国美と蘇寧」

一昨日7月3日(金)の話でレポートが遅くなってしまって恐縮なんですが、法政大学イノベーション・マネジメント研究センターで開かれた講演会をちょこっとだけ聞いて参りました。

中国の流通をテーマにした講演会で、なかなか面白そうだなと思ったからです。時間の関係上、その中でも一番タイムリーだと思われる、中国の家電量販店の大手2社、国美(グオメイ)と蘇寧(スーニー)のケーススタディを取り上げておられた、専修大学商学部の関根孝教授の講演だけを聞いて参りました。

先般日経MJさんも報じておられましたが、今年度中に、中国の家電量販店売上ランキング及び、小売業全体の売上ランキングの1位と2位は、たぶん入れ替わるみたいなんですよね。

これまで1位だった国美を、2位の蘇寧が追い抜くだろうと。

国美の黄光裕会長は2008年秋に株価操作、贈賄などの容疑で警察に身柄を拘束され、現在取り調べの最中で、自殺未遂を図ったのではないかという報道が日本の新聞やネットニュースにも出ておりました。

それに対し、蘇寧はつい先日、ラオックスの筆頭株主にもなり、勢いに乗っているようです。

関根先生は、蘇寧好調の秘密が、次の6点にあると指摘しておられました。

1.確実かつ効果的な店舗展開(国美の店舗は第1・2級都市に集中しているのに対し、第3級都市=県都以下の家電市場への進出では先行)。

2.企業ブランド力の高揚、経営管理水準の向上、物流の効率化(15ケ所の物流基地を建設、IBMと提携し8,000万元を投資して情報武装化、企業管理とIT管理を改善)。

3.アフターサービスで差別化(500ケ所のサービス拠点のネットワーク、30ケ所の顧客サービスセンター。例:エアコンは12時間以内に配送・設置)。

4.メーカーとの共存共栄の関係性の構築(メーカーへ滞納しない、中小メーカーに対して決裁期間を短縮)。

5.人材の育成(毎年、提携高校から200名の技術人材を採用。40歳〜45歳の中堅人材の採用と育成)。

6.企業文化(蘇寧の創業者は高学歴。採用や人材起用もオープンでクリア、株主も過半数が一般株主と民間企業)。

どうでしょう、これらの成功のポイントの多くは、ファッション系小売業にも通じるのではないかと私は思ったのですが。

この他、家電メーカーサイドの分析を行っておられた部分も、なかなか興味深かったのですが、

それ以上に、一番印象に残ったのは、まとめの部分で、関根先生が「4つのタイプのVMS=Vertical Marketing Systemがある」と指摘されたことです。

その4つとは、

・メーカー主導型

・卸主導型

・量販店主導型

・消費者主導型

であり、それぞれのVMS間の創意と工夫によるマーケティング競争が進むだろう、ということでした。

「消費者主導型」という形が呈示されているのが、今日的で面白いですよね。

今、アメリカではサーキットシティが破産してしまったため、家電量販店大手はベストバイのみが残り、2番手はウォルマートの家電部門、という状況になっております。

質疑応答の中で、「日本から中国に進出しておられるイトーヨーカ堂さんやイオンさんにもチャンスがあるのでは」といったご発言もございましたが、日本及び中国の家電小売りの世界が今後どのような方向に進むのか、ファッション業界との比較論という意味でも、興味が尽きません。

国美

蘇寧

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