業界のプロの方々と話していて、
「この方、まだお若いのにすごくご経験を積んでおられるな」と思うことがちょくちょくあるんですが、
よくよくキャリアを伺ってみると、高校を卒業してすぐにファッション業界に飛び込んでおられる、というケースが多いです。
もっと言うと、「高校時代からショップでバイトしていた」というお話もよく聞きますが、
そうなると大卒の人より、4年どころか、5年から7年早く現場を踏んでおられる訳です。
一般的に、若い時の方が、ファッションに対する「好き」の思いが強く濃い場合が多いと思いますし、
現場の先輩達もお客様も、若くてやる気があって、素直な性格の人をかわいがってくれるでしょうから、
持って生まれたセンスに商品知識がかけ算で加わって、「すごい人材」が育っていく訳です。
とはいえ、短大卒、大卒だから駄目という訳でもないんですが、もし「仕方なく」ファッション業界を選んでいるとしたら、その時点で「好き」だからどんどん前のめりに進んでいる人よりも、何十歩も遅れをとってしまっているという気がします。
但し、語学力が必要とされる外資系企業さんとか、商社さんの正社員とかいった職場は、高卒の方にとってはハードルが高い(エントリする資格が与えられない)場合もあると思いますが。
学歴に関して最近感じていることが2点ほどあって、
ファッション業界周りで高学歴な方が多い業種の双璧が、
商社さんの繊維部門(最近ではライフスタイル部門に改組している企業さんが多いですが)と並んで、
百貨店さんだと思うんですが、
百貨店さんは高学歴な方々を本当に生かしきれていないなと。
20数年前の地方百貨店さんはそうだったんですが、高卒の接客力の高い正社員の方が沢山おられましたが、
ひょっとしたらもう一度、総人員の数を減らすと同時に、多様なタイプの人材によるハイブリッドな組織に戻していく必要があるんじゃないかと。
高卒、大いに歓迎、そして、外国人観光客の多いエリアでは、まずはアルバイトから、中国人や韓国人の人材が必要とされていると思います。
そして、ここで育った、雑草のようにたくましい人材をアジアの店舗に振り向けられてはどうかと。
もう1点は、高校でも短大でも大学でもない、もう1つ、ファッション業界内においては重要な存在であるはずの専門学校さん、そちらの教育のあり方です。
最近どんどん4年制のコースが増えて、親御さん達にとっては、へたをすると子供さんを大学に行かせるより遥かに高い授業料を納めなければいけないという状況になってきているようです。
年々子供っぽくなる学生さんと、長時間労働でどちらかというと厳しい現場が多いファッション業界の狭間にあって、専門学校さんのご苦労も多いと思うんですが、
高卒からすぐに現場に入る場合と比べて、現場との乖離を拡大させるような教育であっては意味がないんじゃないかと。
クリエーションと現実感覚・現場感覚というのは、矛盾するところも大きいと思うんですが、
9割方の学生さんにとって必要なのは、クリエイティブな要素の強弱の差はあれ、単なるコスチュームではなく、マーケットの中で受け入れられて行く「商品」を作り売るための現場感覚なのではないかと私は思います。
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