2010年回顧:中国生産の納期遅れと工賃アップ問題の余波
今年も残すところあと数日となりましたので、
「2010年のファッション業界10大ニュース」みたいなテーマで書いてみてもよいかと思うのですが、
実際のところは、「中国生産の納期遅れと工賃アップ」の問題が、
業界内では、唯一最大の大問題であったと言っても過言ではないように思います。
私のブログでは、どちらかというと、市場としての中国にフォーカスしたトピックを中心に取り上げて参りましたが、
アパレル及び服飾雑貨の、生産から販売に至るまで、全ての行程の大多数の皆様、
依然として日本のファッション業界における販売額の大多数を占める国内販売向けのゾーンで、
売るべき時にその時期に相応しい商品が納品されてこない、というのは、大問題であります。
現在、大手アパレル、中堅アパレルとの関係が深い商社さんでは、信頼出来る工場との計画生産の徹底、更には、中国国内の内陸部や、チャイナプラスワンと呼ばれる、東南アジアへのシフトの動きが強まっていると仄聞しております。
また、アパレルや、SPA(製造小売業)企業サイドでも、社内体制の再編、企画の早期化、商品調達の仕組みの根本的な見直し、あるいは、それだけが理由ではないですが東京スタイルさんとサンエーインターナショナルさんの経営統合のような事例まで出て参りました。
実は、それだけではなく、中国生産の納期遅れと工賃アップ問題の余波は、より川上のテキスタイル産地や、日本国内の縫製工場、そして、そういう工場さんに生産を頼っているデザイナーやクリエーターのところまで玉突き状態になって波及しております。
「今年は閑散期がなかった」「うちも納期遅れを出しそうになった」という話を、国内の縫製業の方から伺っておりますが、
クリエーターの皆様からは、「早め早めに生産を依頼しないと、自分達の商品も納期遅れしそうだ」という不安の声を沢山耳に致しました。
工場さんと発注元との関係は、需要と供給のバランスによって自ずと決まって来るように思いますが、
デザイナー、クリエーターの皆様も、
日頃から工場さんとの間に良好な人間関係を築いておく、
某ラグジュアリーブランドさんの生産方式が好例ですが、複雑なパターンのものは閑散期に生産してもらえるよう、長めの納期にするなど、常に早めに計画的な発注を行う、
・・・といったことと合わせて、
クリエーターといえども、それなりのまとまった量を発注する(もしくは、今現在はそこまで行っていなくても、将来に向けてブランドを育てて行くつもりであるという気概を見せる)、
という必要があるのではないかと思います。
まとまった量を出そうと思うと、当然、横編みのニットならニットとか、布帛のシャツとか、アイテムを絞った方が有利、ということになります。
さらには、アパレルの場合は生産機器のバリエーションがありすぎて現実的には難しいのかもしれませんが、一部の服飾雑貨のクリエーターの動きに見られるように、自ら小さな工場を持つ、ということすら考えて行く必要がある時代なのかもしれません。
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