メンズ・バギーパンツの王様=「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」
今日は、ファッション振興財団さん主催の、
「2011-12年秋冬 ミラノ・パリメンズコレクション速報」をご聴講させて頂いたんですが、
セミナーの中で、「次の秋冬シーズンはパンツのシルエットのバリエーションが豊富になりますよ、
特に、バギーパンツが出て来ますよ」という話がございました。
その話を聞きながら思ったことを今日は書いてみたいと思います。
シーズンということを抜きにして、メンズ分野で、頻繁にバギーを提案しておられる、いわゆる「メンズ・バギーパンツの王様」的なデザイナーは誰だろうかと考えた時に、
私の脳裏に一番に浮かんでくるのは、「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」のデザイナー、山本耀司氏なんですよね。
というか、レディスにおいても、太いシルエットのマスキュリンなかっこいいバギーパンツが上手いデザイナーとなると、
さくら的には、古くはイヴ・サンローラン氏、新しくは山本耀司氏、のお二人が、バギーパンツの双璧だなぁ(さらにもう1名挙げるとすれば、トップスも含めてのスーツとしてのシルエットの美しさが売りなんですがジョルジョ・アルマーニ氏でしょうか)、と思っているんですが、
ヨウジ氏の場合は、レディスとメンズでは根本的にデザインに対するお考えが異なるところがあるように感じていて、
レディスでは、特に全盛期のヨウジ氏は、女性美の極みを追求しているかのような凄みのあるデザインをご提案なさっておられたのに対して、
メンズは、結構、「おっつぁんルック」的な、壮老OK、立派すぎる体躯を持て余し気味の方も、小さな体を精一杯大きく見せたい方も、痩せ過ぎも猫背も何でも来い、といった、融通無碍なところが魅力なのでありました。
何が言いたいかというと、通常バギーは、身長の高い人向きのファッションなんですが、「そうとは限らないよ」的な着こなし提案がいろいろあるのが、ヨウジ氏のメンズの面白いところなんですよね。
昔の、いわゆる土管のように太い学生服のボンタンズボンのように、ずるずるひきずって着てもよし、
極太のパンツを途中でパツンと切ってしまってロールアップして足首を見せてもよし、
あるいは、トップスとの組み合わせにしても、最近の流行ではボトムスをバギーにするならトップスはウエストシェイプさせてコンパクトにみせて、レディスで言うところのフィットアンドフレア風に・・・なんて鉄則は全く無視して、
トップスもダブダブジャケット、ボトムスもダブダブズボン、なんてのもありましたし・・・。
レディスの透徹した美意識とは真逆の、一部悪趣味ぎりぎりなところを行っていたヨウジ氏のメンズは、
とことん「着る人中心」=アンタが主役、だったんですよね。
それは、外見が格好悪い俺が、俺のままでいいんだ、というスタンスで、
メンズにもレディス的な価値観がかなり浸透してきて、「ランバン」に代表されるような、「美意識」がメンズにおいても重視される時代性とはちょっとずれてきているのかもしれませんが、
「俺は、俺のままで、あるがままでいいんじゃねぇ?」というメッセージに、救われる男性ファンの皆様も今の時代にも確実に存在するのではないでしょうか。
やっぱり、私にとっての「メンズ・バギパンの王様」は、ヨウジ氏であることに変わりないです。
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