M&Aで東京スタイルが独走する背景
2011年を回顧する記事が
業界紙さんやネットニュースさんなどでもどんどん掲載されておりますが、
今週号12月19日付けのWWDジャパンさんも取り上げておられたように、
今年は東京スタイルさんが次々と中堅の有力アパレルさんを傘下に収められたのが
強く印象に残った年でした。
(WWDジャパンさんの記事は、東京スタイルさんのホームページ内で紹介されておりますね)。
ゼロ年代には、ファンドの動きが目立っておりましたが、
今年は、完全に東スタさんの独壇場で、
様変わりしたなという印象です。
しかも、ゼロ年代に見られた、経営不振に陥った企業再生のためのファンドが出資する「救済型」とも言えるM&Aに対して、
小粒でもキラリと光る個性を持つブランド、
コアなファンがしっかりついていて、決して業績不振ではないブランド、
要するに、優良ブランドばかりを押さえていっておられますよね。
東スタさんは買収なさったブランドをうまく伸ばしていかれるのがうまい企業さんですので、今後が楽しみです。
私自身が直接取材した訳ではないですし、
東スタさんや、同社の傘下に入ったブランドさんの上層部の方々と懇意な訳ではございませんので、
これは全くの推論に過ぎませんが、
M&Aは、「ブランドを買いたい側」の企業さんと
「ブランドを売りたい側」の企業さん、
その両方が存在して初めて成り立つはずで、
圧倒的な財務体質を基に事業ドメインを拡大したいという意向を持つ東スタさんの考え方はよくわかるんですが、
「売りたい側」のお気持ちは、果たしてどうなんだろう、という思いを、強く感じます。
少し前に、業界のある方から、
「さくらさん、最近は経営に疲れている経営者の方々が多いんですよ。疲れているというか、疲れきっている、という感じでしょうか」というお話を聞いたことがあります。
「売る」という冷静なご決断が出来る経営者の方は、決して疲れきっているという状態にまでは至っておられないと思いますが、
成熟社会、今後日本の人口が漸減するという厳しい環境下で、ブランドと社員を守りさらに成長させるためには、
自力本願だけでは厳しい、という結論に至られたのではないかと思います。
(さらには、個々のご事情を存じ上げている訳ではないですが、一般論として、後継者がいらっしゃるか、いらっしゃらないかor育っていないか、という問題もあると思います)。
「ブランドを買いたい側」に本来名を連ねるべき東スタさんの競合たる企業さん達が元気をなくしておられる状態ですので、
来年もまだまだ、M&Aに関しては東スタさんの独走状態が続くのでは、と思いますが、
何度も書いておりますように、無競争の市場には、突然外部から、新たな強力な競合が参入してくる、というのが世の中の常でして、
レナウンさんが山東如意集団さんに買収された例のように、
今後は、中国の企業さんがコンペチターになってくるのではないかという風に私は予想しております。
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