ヴィヴィアン・ウエストウッド シューズ展
今日は、「ヴィヴィアン・ウエストウッド シューズ展」の最終日。
日頃からお世話になっているYさんにチケットを頂いていましたので、
大慌てて会場の表参道ヒルズ「スペースオー」まで行って参りました。
ヴィヴィアンと言えば、靴専門のデザイナーさんという訳でなく、
70年代、80年代には、パンキッシュなスタイル、
90年代以降は、ファッションの過去の歴史にインスパイアされた
バッスルやコルセットなど、
大時代的でなおかつフェティッシュなイメージの
ウェアも含めたトータルなデザインで名を馳せた方で、
私はやはり、彼女の真骨頂は
トータルなルックを見なければ理解出来ないだろうと思っていますが、
通常のファッションデザイナーにとっては添え物的な存在である場合が多い
靴というアイテムにおいても、
これだけ個性的で美しいデザインの数々を生み出したということは、
やはり、特筆すべきことだろうという気がいたします。
靴だけにフォーカスしても、展覧会が成り立つということ自体が、
本当に凄いことだと感じました。
彼女が数々の靴たちに込めた強いエネルギー、生命の輝きに、圧倒されます。
今回の展示では、少し暗めの会場に、
ヴィヴィアンのブランドマークの環を連想させるような輪の装飾を施したショーケースの中に、
メンズ、レディス双方の靴を並べてありました。
会場の正面に映し出されたコレクションのシーンとヴィヴィアン・ウエストウッド氏本人へのインタビューを編集した映像から聞こえて来る、
ヴィヴィアンの肉声や、
たぶんコレクションで実際に流れていた音楽だと思いますが、
意外と奇をてらったものではなく、
例えば、「トルコ行進曲」のような、聞きなじみのあるBGMであるということとか、
壁面に飾られている、ヴィヴィアンの靴を履いた女性達の写真、
その写真のフォトグラファーがユルゲン・テラー氏なのに、
ユルゲン・テラーっぽくない撮り方になっている感じ
(ホラーやSEXの演出は、ヴィヴィアンを身にまとう女性達には必要ないでしょうからね。その靴を履くだけで、十分に女性性を謳歌出来るのですから!)とか、
それが、何とも言えない“ヴィヴィアンらしさ”を醸し出していました。
ヴィヴィアンといえば、遠い昔、彼女の高いヒールの靴を履いていたスーパーモデルのナオミ・キャンベルが転んだシーンを、
TVで見た記憶がありましたが、
その靴を始め、
パンク時代のハンマーヘッドトゥの靴や、
ウエッジソール、木底のプラットフォーム、
ウエッジソールのニーハイブーツなど、
形も、色も個性的で、
かっこいいけど歩きにくそうな靴が揃っていました。
しかし、展示品の中で一番私の目を惹いたのは、
1988年に発表された「アポロウィングシュー」です。
この、羽根が生えた靴を何かの本などで見た記憶はあったのですが、
今回の展示を見て、この靴がギリシャ神話にインスパイアされたものだということを初めて知りました。
この靴を見た時に、
反逆、反抗→復古主義、というドラスティックな転換を遂げた彼女のファッションの根底には、
常に人間讃歌、女性性の謳歌、人間の自由と解放への思いが、
脈々と流れ続けているんだろうな、ということが、
反射的に頭の中に閃いたのです。
彼女の靴は、不自由そうに見え、誇張的に見えるところもあるけれども、
実はそうではなく、女性美を高らかに歌い上げているものなのだろうと。
何十年間か、自分の頭の中でうまく消化できていなかった謎が、
一気に氷塊したような気がしました。
(写真上は、表参道ヒルズの入口。
写真下は、会場で購入した絵葉書を入れて下さった封筒。絵葉書は、3種類を除いて完売、という状態でした)。
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