時を忘れ自然と芸術に身を任せる贅沢ー直島に行って来ました
3月に上海と北京に行ったときのレポートがやっと終わりましたので、
4月以降の話を少しずつ書いて行こうと思います。
最近は本業の方もすっかり忙しくなっておりますし、
語学の勉強(特に中国語)にも時間を取られていて、
気ぜわしい毎日を過ごしているのですが、
ゴールデンウィーク中は岡山に戻りましたので久々に心と体をゆっくり休めることが出来ました。
特に、今回一番嬉しかったのは、随分前から行ってみたい、行ってみたいと思いながら、
なかなか実行出来なかった直島行きを、
ついに実現出来たことです。
岡山県と香川県の間にある、瀬戸内海に浮かぶ直島は、ベネッセホールディングスさんが設立した公益財団法人直島福武美術館財団さんの手により、
現在は複数の美術館とリゾートホテルなどが設けられた“アートの島”として、
世界的に有名になっております。
但し、そこに至るまでには、
まず、宇野港というところまで電車または車で出て、
それからフェリーで約20分、
そして、島にはタクシーは1台しかないので、
レンタサイクル、徒歩、もしくはバスを選択し、
バスでもおおよそ5分か10分という時間をかけて
やっと、最初の目的地・地中美術館にたどり着く・・・という大変さがあります。
しかし、それだけの時間をかけて、わざわざ出向いた地中美術館は、
噂に違わず、本当に素晴らしいものでした。
この美術館には、3名(+安藤忠雄氏による建物設計も含めると4名)のアートしか置かれておりません。
そして、そのアート作品は、地下のフロアに置かれておりますので、
エレベーターで地中の奥へ奥へともぐっていき、
そして、それぞれの展示室の手前で、行列を作って順番が来るのを待ちます。
鑑賞者の人数があまり多くなりすぎないように、という配慮があるのです。
順番が来たら、靴を脱いで、作品にほこりを立てない状態を整えて、作品の前へと進みます。
クロード・モネの「睡蓮」が5枚、
そして、ジェームズ・タレルと、
ウォルター・デ・マリアという、
現代美術を代表する作家達の作品と、対峙するのです。
ジェームズ・タレル氏の作品は、金沢21世紀美術館でも見た記憶がございましたが、
ウォルター・デ・マリア氏に関しては、日本ではこの直島でしか見ることができないということを聞いておりましたので、
期待も高かったのですが、
実際に作品を前にすると、
そういう高揚感よりは、白い壁面の中に浮かび上がる作品の中に没入していくような感覚、
昔々、少しだけお茶をやっていたことがあるのですが、お茶室の中にいる時のような静謐な空間と自分が一体化していくような気持ちを味わうことが出来ました。
地下室に身を置き、天窓から降り注ぐ光を仰いでいると、
逆に、自然の存在の大きさをじわじわと感じることが出来ます。
展示室から展示室へと、階段を歩いて移動していると、
5月の薫風が、体をすり抜けてふわりと吹いて去って行く。
アーティストが多大な時間と労力をかけて作り上げた大きな作品の持つエネルギー。
1点1点の作品を、このまま何時間でも、眺め続けていたいような、
「時を忘れる」という感覚を、久々に味わいました。
特に、ウォルター・デ・マリア氏の作品には、
教会の中にいる時のようなおごそかな雰囲気があって、
黒い石に投影された天窓からの四角く形取られた光を見ていると、
まるで地上から天国に通じる光の道のようだな、と私は思いました。
残念ながら日帰りしなければならなかったので、
この地中美術館と、もう1箇所、ベネッセハウスだけ見て、
李禹煥美術館は見ることが出来なかったんですが、
それでも、自分の中にも存在する「自然」の力を
再確認して、元気になれた善い1日でした。
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以前、コメントを書かせて頂いた豊水です
さくらさん、直島に観光に来ていたのですね
実は私は現在、香川と愛媛の県境から
遥々、直島から近い島で生活しています
2~3年ほど、こちらで生活する予定ですが
ここにいるとブランドって何だろう?と感じます
必要としない人、興味がない人、知らない人
欲しくても手に入らない人、我慢する人
欲しい物は必ず手に入る人、貰える人・・・
本当、いろいろだなーと思います
オープンした丸亀グリーンはそんな思いから見るだけで
すごい、すごいと人気だけど
東京はもっとすごいのだろうなーと思ってしまったり
夏頃に、もしかしたら倉敷に
旅行に行けるかもしれないのでそれが楽しみです(チボリ以来!)
来年は瀬戸内国際芸術祭があるので、島生活中に体験できればと思います
さくらさんもお仕事でお忙しく大変だと思いますが、また観に来てくださいね
投稿: 豊水 | 2012年5月27日 (日) 15時07分
豊水さま、書き込みありがとうございました。
島での生活は、いかがですか。瀬戸内は比較的気候が温暖で、海の幸山の幸にも恵まれているため、すごしやすいのではないかと思います。
ある著名な方がおっしゃっておられたのですが、「ブランドは、プライベートを犠牲にし常識では考えられない程多忙な仕事をしておられるような方が、癒しを得るために購入するものだ」と。
真に心豊かな生活をなさっておられる方にとっては、無用なものなのかもしれないですよね。
とはいえ、生活から全く彩りが失われてしまうのも寂しいもの。丸亀グリーンには、私の知人も関わっているやに仄聞しています。よかったらたまにはお出かけください。
倉敷への旅、いいですね!楽しんできてください。私も、今度はぜひ、直島以外の島にも行ってみたいと思います。
投稿: 両国さくら | 2012年5月28日 (月) 00時25分