ミクシィ(mixi)のサブスクリプション型コマース「プティジュテ」は大丈夫?
facebookの中で、ファッション関連のwebサービスやeコマースに携わっている何人かの私の知人の皆さんも同様のことを投稿しておられたんですが、
うーん、久々に、本当に「これって・・・大丈夫なんだろうか・・・」と思えて来るようなニュースを拝見しました(Fashionsnap.comさんのサイトでどうぞ↓↓↓)
◆mixiが新事業「プティジュテ」9月開始 サブスクリプション型コマース参入へ-Fashionsnap.com
そして、「プティジュテ」さんのサイトはコチラ↓↓↓
まだ、本格スタート前の、会員候補の先行募集の画面1枚しか立ち上がっていないので、決めつけたような言い方は禁物だと思いますが、
ぜひ「みんなの声」を参考にして今からでもサービスをブラッシュアップして頂きたいなと思うので、
「みんなの声」の1つとして、私の意見を書かせて頂きますが、
まず、mixiさんが、何で唐突にこんなことを始められたのか。アメリカで流行っていることとはいえ、このサービスがmixiさんの既存のユーザーさん、ファンの皆さんに喜んでもらえるものなのか、
そして、そういうサービスを作り上げ運用し続けることが出来るだけの情熱が、果たして社内に存在するのか(サイトを自分の子供のように大切に育てて行くことが出来るのか)?
それを一番に感じました。
次に、ことファッションというジャンルに関しては、例えば食品の分野で、美味しいチーズとかお酒とか焼き菓子を月替わりでお送りしますよ・・・といったサブスクリプション(定期課金)型コマースみたいに、単純なマーケティング、マーチャンダイジングでは成功しないというのが、私の考えです。
アメリカで成功していると言われている「shoedazzle」が、
ケーススタディとして参考になると思うんですが、
・創業者が起業のプロ+モデル(ファッションのプロ)で、お客様に期待感と安心感を十分与えることが出来る。
・サイトに登録する際に、好きなテイストをチェックする、というプロセスを設けている。
・登録後は、好きなテイストにあった商品がレコメンドされるが、十分な点数の商品の中から会員が好きな商品を1点選ぶ仕組みで、更に好みに合わない商品が送られて来る、というリスクを避けている。
・ファッションのプロによる商品セレクションで、価格の割に商品感度が高い。また、在庫もちょうどいい程度に確保されている(注:この辺は実店舗と少し異なりますが、ある程度「Sold Out」していた方がお客様の購買意欲が高まるという面がネット通販にはあります)。
・・・という特徴があります。
言い換えると、
・「Who is a customer?(お客様が誰なのか?)」がわかっている→顧客分類がきちんと出来ている。
・サイトの運営者は、お客様の気持ちを、常に考えている(特にファッション商品で高額品や感度の高い物を売る場合には、ファッション好きな幹部、スタッフが運営者の内部にいた方が絶対的に有利な筈です)。
・ファッションのプロか、プロに負けない気構えの人が、仕入れ、マーチャンダイジングを行っている(アメリカの場合は日本と異なり、実店舗の小売業が買い取り制を取っているため、売れ残り品を仕入れるということがかなり容易な条件があると思いますが、それでも、業界とのパイプがなければ、よい品揃えは困難なはずです)。
・・・ということで、ネットで定期課金で、という仕組みに合致させる形で、リテイルマーチャンダイジングがきちんと実行できているから、お客様に支持されていると思うんですよね。
アメリカでファッションがらみのECの成功事例は、大概、webのプロとファッションのプロがタッグを組む形で立ち上がっているように思います。それが車の両輪で、どちらが欠けても成り立たないはずです。
日本には、実は昔から、職域販売やカタログ通販の世界で、「頒布会」という名前の定期課金型コマースは既に存在しており、私は高校生の頃、そういう商品を毎月学校で沢山買っていました(その頃買っていた『クック』という料理雑誌は、今でも何冊か東京に持って来ています)。
このサービスを、「最初にお金を一定期間払ってもらっておけば安定運用だ」と思ってもしなめているとしたら、大変なことで、
お金を前払いしている分、期待値を下回った場合の落胆、怒りも、非常に大きいものになってしまいます。
もしmixiさんが、「20代の女性」程度のあまりにもざっくりした顧客像を持ってこのサービスを開始されたとしたら、
本当に大変なことになるんじゃないかと思って、かなり心配になったのですが・・・。
まだ発表されていないだけで、社内の女性スタッフさんの中に本当にファッションが好きでユニークな仕掛けが出来るような人材がいらっしゃるとか、
あるいは、外部に既に強力な取り組み先を得ておられるとか、
何の根拠もなくサービスインされることはないと思っていますので、
実際のサービス開始を楽しみに待ちたいと思います。
実は私は、サブスクリプション型コマースは、女性誌さんが手掛けられると面白いと思っておりまして、
既に女性誌さんは、『婦人画報』さんとか、『story』『very』さんとか、通販で成功しておられるところは多いですし、
もっとヤング向けのゾーンでも実績をお持ちの企業さんが多いですから、
「サブスクリプション型で毎月編集部厳選のいい物をお送りします」というやり方でも
かなりお客様は集まると思います。
正直、このビジネスモデルそのものは新しいものではないし、
サイトの構築技術に高いレベルを要するものでもないと思いますから、
「ターゲットがしっかり見えている」「お客様の立場に立って考えられる」「よい商品が揃えられる」・・・小売業の基本がきっちりわかっている(今は素人であっても、それを直感的に感じて自分を変えて行けるセンスがある)ことの方が、大切なんじゃないかなと私は思います。
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さくらさんの意見に一票。。。
「会員はいる、お金もある、でもやること(ビジョン)がない。
え、米国ではサブスクリプション型ビジネスが成長してる?
ほいじゃま、ウチもやってみっか」
みたいなノリを想像。。。
覚えにくいサービス名をつけるセンスからして
不安を覚えます。
投稿: ゆき | 2012年8月21日 (火) 02時06分
ゆきさま、ありがとうございます。
このエントリを書いた後で思ったんですが、失敗をおそれすぎても、企業は駄目になる、ということもあるのかな、とも・・・。
まだ、サービスがはじまっていないので決めつけることはできませんから、
良くなることを信じて、待ちたいですね。
投稿: 両国さくら | 2012年8月23日 (木) 00時32分