スピ系、自己啓発系から、ニュー社会派へ
前々から書こう書こうと思っていて、
ついつい日々のファッション関連のニュースを取り上げているうちに後回しにしてしまっていたことを
今日は書いておこうと思います。
私が勤めている会社はセミナーや勉強会の開催が主たる業務の1つになっていて、
その中にはファッション業界以外の方々も対象にしているものがあるので、
いろいろなお客様がお見えになっているんですが、
うちのビルが開業した2000年以降の“ゼロ年代”の顕著な傾向として、
占い、パワーストーンとか、パワースポット巡りなどをはじめとする
スピ系ことスピリチュアル系のコト、モノにはまっている方々に非常に多くお会いするようになりました。
昔だと、もっと、ストレートな宗教の世界に入っていって、うちの会社のように人が集まる場所では勧誘を始めるような方をちょくちょくお見かけしたように思うんですが、
オウム真理教事件の影響もあるのか、
スピリチュアルなものへの傾倒は、非常にライト感覚、おしゃれな雰囲気に変わっています。
もう一つ、これもゼロ年代というか、ゼロ年代の後半以降に出て来た傾向だと思いますが、
勉強会、セミナー好きの方々の中に、
自己啓発系の主張の強い講師の方々の論説に取り込まれてしまって、
結構な金額の受講料を投じておられるケースもちょくちょく見ます。
後者の事例に関しては、様々なタイプのコンサルティングがあり、「金額が妥当かどうか」の判断には難しい面があるとは思うのですが、
ゼロ年代後半に人気を得た方の方法論が、
若い方の将来への不安=お金のことに触れることで
集客に成功しているところが特徴のように感じていました。
スピ系の方も、実は根っこのところには同じ社会情勢があって、
世の中不景気で将来が不安・・・というところから来ていると思ったんですが、
なんだかんだで、皆さん不安を解消するためになんだかんだ小金を使っているなと思っていたんですよね。
ファッション業界に近しい業界でいうと、アロマキャンドル、自然派コスメ、この辺の消費拡大は、スピの流行に後押しされて伸びた、と見てよいと思います。
(スピ系消費については、有元裕美子著『スピリチュアル市場の研究ーデータで読む急拡大マーケットの真実』に詳しいです)。
実は、スピ系、自己啓発系とも、うちの会社周りでは、ファッション業界の方よりもそれ以外の業界の方の方が圧倒的で、
ファッション業界の皆さんはリアリストが多いなという感じを受けていました。
非常に忙しい業界なので、アヤシいイベントとかセミナーなんかに行っている暇はないし、悩んでいる時間もない・・・という感じなのかもしれませんが、
スピ系とか自己啓発系をいいと思うか悪いと思うかは別として、「そういう人達が増えている」という世の中の流れにうとくなってしまうところもあるかもな、という気がしております。
ところが、3.11、東日本大震災以降、またちょっと流れが変わってきたなと私は思っていまして、
原発問題のような抜き差しならない深刻な問題が起こったせいもあるのか、
ボランティアを行ったり、社会問題の解決について考えたりアクションしたりという
“ニュー社会派”とでも呼べば良いのか、世代を問わず、そういう方々がぐんと増えたように思います。
それと、リーマンショック以降、不景気が続いていましたが、
実は震災の少し前からたぶん景気の動向も反転していて、
現在の景気は必ずしも悪くない(ただ、ここにきて、これから下降するか、という感じも見受けられるのですが)ということもあって、
高額品をはじめとするリアルな商品の消費も回復していたように思います。
ただ、何にせよ、特に20代のヤングの意識の根底にあるのは、
現在だけでなく将来に亘って継続する経済的な厳しさ、なんですよね。
またまた景気が下降すれば、再び、スピ系、自己啓発系的な流れへの揺り戻しが出て来るんじゃないか、そんな風に私は予想しています。
ユニクロさん、外資ファストファッション、そして大手の買いやすい価格帯のリアルクローズのブランドさん達は、こういう時代にマッチしておりますので、
世の中が厳しくなればなるほど、逆にチャンス、という風に内心ではお考えになっておられると思いますが、
アジアの他の国のバブル的な高揚感と相反する日本のこの空気感に対し、
中小企業や個人事業主によるブランドが、どういう立ち位置を取るのか、
戦略以前に、企業としてのフィロソフィー(哲学)が問われる時代なのかもしれません。
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