菅付雅信氏の「ライフスタイルの中心は食」、に賛同
MODE PRESSさんに元『コンポジット』『インビテーション』『エココロ』編集長の菅付雅信氏の連載コラム「ファッションが終わる前に」が掲載されているんですが、
非常に面白いです。
(初め、執筆者がどなたなのか、ページのどこにも書かれていなかったように思ったのですが、最近ちゃんと菅付氏の署名が文末に記されるようになったので、ほっといたしました)。
連載の第4回「服からライフスタイルへの移行がはらむ問題」で指摘されている、
「ライフスタイル・マガジンの中心は食」は、単なる編集の切り口の問題ではなく、実際に街を見たときの現実的な事象としても当たっていますね。
昔は、例えば地方都市で新しい街の核となっていたのは、昔ながらの商店街から1、2本外れた場所に出来たブティック、セレクトショップで、そういうお店が3軒くらい出来ると、その周りにオシャレな美容室が出来、カフェが出来・・・という形で新しい通り=街が形成されていったように思いますが、
今、地方の街おこしの核になっているのは、B1グランプリに象徴されるような食、です。元気な人達は食と、その先にある農業に走っている。
食は老若男女、可処分所得の高い低いを問わず人間ならば誰もが関心を持つ分野ですし、食の安全性の問題が取り沙汰されるようになったこと、そして、ネット通販=お取り寄せの普及で、オーガニック、地産地消や、都心在住の消費者による生産者の応援、といったこだわり、多様性がゼロ年代以降一気に花開いたように思います。
日本の場合は、服を必要とするピュアヤング、ヤングの人口が減ってしまっているという要因が大きいと思いますが、日本に限らず成熟した国家では「脱トレンド」の方向に向かうのは必然なのかなぁと。
暫く前から、「アーツアンドサイエンス」とか、「ILDK」のようなタイプのショップが登場し人気を集めておりますが、
来春ビームスさんが「西海岸」を大きく打ち出される、という報道を見て、「いよいよ、流れがマスまで来たなぁ」と私も思いました。
(但し、テーマがあくまでも「西海岸」であって、和の匂いが排除されているところは、ビームスさんらしいと思います。和志向が強まると、店頭から若さやエネルギッシュなダイナミズムが失われ、ますますファッション消費減退、となりかねないと思いますので)。
菅付氏が文末で指摘しておられる、「(ファッション産業、服の産業が・・・より良くサヴァイブするためには、)コモディティ化とユーティリティー化、そして宗教化のいずれのどれかに特化するしかないと考えている」というのは、
現実に、
「コモディティ化」の最たるものは「ユニクロ」、
「ユーティリティ化」はアウトドア関連ブランドや、靴、バッグ、ベルト、帽子、アクセサリー等の、機能性を必要とする服飾雑貨、
「宗教化」は、バイヤーからはあまり評価されなくとも、熱烈なファン=消費者と直接つながることで人気を博している一部の東コレ系ブランド・・・という形で、
既に具現化しており、日本だけを市場と考えるならば、今後ますますそういう方向に進まざるを得ないという風に私も思います。
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