上海のレポートは、今回が最後です。
4月20日(土)の夜、午後6時半頃から、中山公園エリアにあるショッピングセンター(SC)「龍之夢購物中心」に入りました。
このSCは、現在の上海では見逃せないSCの1つだと私は思っています。いつ行ってもお客様が多く、なおかつ有力なファッションブランドがひととおり揃っているので、
お客様の店内への入り具合や買い方を見ていると、
ブランドの好不調が見えてきます。
このSCでのファッションの両巨頭は、「H&M」と、「C&A」です。
今回私が見ていた時間帯での両ショップのお客様の入り具合、売れ具合は、ほぼ互角かな、といった感じでした。どちらも、若いカップルや友達同士、1人客の入店が多く、
「H&M」の方がフィッティングルーム前の行列が16名、レジ前の行列が9名(レジは2台稼働)、
「C&A」は、フィッティングルーム前の行列が11名、レジ前の行列が10名(レジは2台稼働)でした。
「C&A」は、日本に進出していないので、皆さんイメージしにくいと思うんですが、
テイスト的には「H&M」の方がややモード寄り、コレクショントレンドからリソースを得たかのような商品が多い感じで、
「C&A」は、すっきりして見えるベーシックなデザイン、色使いのものが結構多くて、
特に今シーズン(2013年SS)は、いつも以上にカラフルでビビッドな色使いの商品が多いシーズンで、「H&M」ではそういった商品の分量が多くなっていましたが、
「C&A」の方を見ると、例えば、塩縮加工をかけたかのような、透かしの入った白のTシャツ99元(1人民元=16.5元で換算すると約1,634円)、ダメージ加工が施された薄いブルースキニーデニム199元(同約3,284円)・・・こんなすっきりしていて、それでいて何となく決まる感じがするコーディネートが組まれています。
今回の上海行きは、所用もあってほとんど何も購入できなかったんですが、私はここで初めて「C&A」の白Tシャツを買いました。
wikipediaや、
「C&A」の公式サイトによると、「C&A」は元々テキスタイルメーカーだったようで、どのような経緯でSPA(製造小売業)への転換を図り、グローバル展開していったのか、その歴史と経営者の考え方には、非常に興味を覚えますね。
この他目を惹いたのは、明日以降スタートさせますシンガポール編の中に何度も登場する予定の、服飾雑貨のSPA業態「チャールズアンドキース」です。
このお店の商品構成は、日本とほぼ同様でした。とにかく、お客様が沢山入っていました(売れる瞬間は目撃出来ませんでしたが、それなりに売れている筈です)。
「オンリー」に関しては、昨年の春よりは復調しているように思いましたが、龍之夢購物中心だけでなく、今回見たどの商業施設においても、1年前よりもショップスタッフさんの数を大幅に削減していました。
人件費も上昇しており、競合も激化しているので、アプローチの早い押しの強い接客だけで簡単に売れるような市場ではなくなってきたからだと思います。
「ユニクロ」さんは、上層階ですが「H&M」や「C&A」に勢いでは負けていませんね。来店客数も非常に多く、稼働4台のレジの前に12名の方が並んでおられました。
「中国は不景気」という話を、昨秋以降何度も日本で耳にしましたが、
プライベートな時間以外に動いていた際に見たSCの様子も含めて申し上げると、
確かに1年半、2年前より市場の動きにダイナミックさはなくなってはいますが、
5月にシンガポールで見たラグジュアリーブランドの売れ方よりは、
4月の上海での様子の方が、それでもはるかに勢いがあります。
富裕層の数も多いし、伸び率は鈍化したが、それでもやはり伸びている市場だという風に見えました。
しかしながら、アパレルブランドに関して言うと、仕組みがしっかり確立されているグローバルSPAはいずれも絶好調なのに、
テイストが絞り込まれたタイプのブランドに関しては調子があまり良くないのではないかと思えるものがいくつもありました。
日系のブランドさんでも、これまで成功事例と言われていたブランドさんなのに、私が見た全ての百貨店、SCで全品値引きしており、お客様も寄り付いていない・・・そういうブランドさんもありました。
何でも売り場に押し込めば売れるような時代は終わり、日本でやっているようなしっかりしたマーケティングやマーチャンダイジング、在庫コントロール、顧客管理、販売員教育などをやっていかないといけない時代を迎えている、
今回上海のマーケットを見ながら、そんなことを感じた次第です。
写真1:龍之夢購物中心の入口付近
写真2:もう少し入口近くによってもう1枚撮影。
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