2009年12月 6日 (日)

ワコール系のSPA「ウンナナクール」の、裏にワザ有りの「ゆるさ」がイイ

横浜にやっとのことで、随分前に修理に出していた眼鏡を取りに行ったついでに、2時間ばかり駅ビルのシアル(CIAL)と、横浜ルミネ(こちらはちょこっとだけ)を回ってきたんですが、

シアルの方は、アパレル系では半分くらいのショップが、「スペシャルセール」もしくは「週末限定セール」など、何らかの形で店内の一部商品の値下げを行っておられました。

ネット上でもプレセールが始まっておりますし、年明けまで待っているだけの余裕がない、というところなんでしょうか。これが不況期の緊急避難的な例外で済めばよいのですが、数年に亘って不況が続く間に常態化していくのが、「経営」という観点で考えると非常に怖いなという気がいたします。

実店舗の過当競争は、今後も継続していくのでしょうから、それを見越した上で、例えばポイントさんの「ローリーズファーム」などが、一定の販売期間を経過して明らかに動きが悪いと思われた商品を早め早めにマークダウンしておられるような方法の方が、お客様にも喜ばれ、なおかつ利益面での損が少ない手法であるように思います。

減収減益の時代、それを計算に入れた上での生産計画、販売計画、在庫コントロールが益々重要になってくるんでしょうね。

ところで、久々にシアルを見ていて、ワコールさんの子会社、ウンナナクールさんの下着とルームウェアのSPA業態「ウンナナクール」さんが、ますますイイ感じになっておられたので、感心いたしました。

「ウンナナクール」さんは、女性向けのふんどし「ななふん」とか、下着用の小さなアップリケの販売とか、暫く前からいろいろ話題を振りまいておられるんですが、

ひとめ見て、店内のポスターとか、商品のパッケージデザインが、すごいなと。

「愛に、負けるな」「自分に、負けるな」というキャッチコピーも、ゆるいけどどこかしら芯のある雰囲気を醸し出している女性(これが「ウンナナクール」のコンセプト、商品の特徴そのものなんですが)を描いたイラストも、明らかに超一流のクリエーターの手によるものに違いないなと・・・。

思ってネットで検索をかけてみたら、やはりそうでした。D-BROSのイラストレーター、渡邉良重さんの作品だそうです。

昨年からの巣ごもりブームを反映し、自宅でくつろぐ時のウェアは、「ジェラートピケ」を筆頭に幾つか発売されておりますが、

ワコールさんの場合は、元々存在していた下着のブランド「ウンナナクール」に、「ランチ」というハウスカジュアルのブランドをプラスしてご対応なさっておられるようであります。

商品は、一見、ワコールさんらしくないというか、一番象徴的なのは、ノンワイヤーのブラジャーが非常に沢山置かれているというところで、百貨店販路での40代以上向けに刺繍やレースを使った豪華で高価なブラとショーツのセットとは対極にあるかのように見えます。

そういう、「下着はゆったりと身につけたい」という、自然体派の女子(&オバさん)向けでありながらも、実は、ババシャツやキャミソール、腹巻きなどでは、保温性が高い機能素材をしっかり使っておられるんですよね。

さっき、このブログを書く前に、一般の方が書かれたブログを幾つか拝見致しましたが、「『ウンナナクール』は可愛くて、丈夫」というご意見が幾つもございました、。この、丈夫という部分が、激安だけを謳い文句にしておられるブランドさんとは異なる、ワコールさんらしいこだわりなんだろうと思います。

「ゆるい」雰囲気を醸し出しながらも、裏にはしっかり最新の技術=「ワザ」を駆使してものづくりをなさっておられる、ということでしょう。

先程、同社の直近の中間決算を拝見したところ、「入店客数の減少などによりウンナナクール全体の売上高は前年をやや上回る程度になりました」とのことで、やはり、不況が堪えておられるのかな、という気も致しますが、

「ペラペラですぐに駄目になる下着じゃ嫌」、かといって「ユニクロさんでインナーを買うのは気分的にちょっと・・・」という方々は世間には非常に沢山いらっしゃると思いますので、是非頑張って女性のカラダとココロを満足させるような商品と店作りを続けていって頂きたいと思います。

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2009年10月25日 (日)

Chim↑Pomのサンドアート@デザビレ

Chim↑Pomのサンドアート@<br />
 デザビレ

何かと物議を醸す事が多い彼らなので、いい意味で裏切られた感があって、良かったです。

今日の主役はファッションデザイナーの方々なので、脇役としてきっちり華を添えた、ということなのでありましょう。

「砂の下のシャネルのバッグは本物ですか?」と聞くのを、うっかり忘れました。

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2009年10月14日 (水)

中国では中国向きのテーマで展覧会を開いていたカルティエ

今週号のWWDジャパンさんの別冊ジュエリー特集を読んでいて、今更のように知ったことがあるんですが(遅い情報ですみませんが)、

今春、日本では上野の森の国立博物館表慶館で開催され、私も見に行って非常に感動したカルティエさんの展覧会が、

今度は北京の故宮博物院で9月5日から開かれているそうなんですが、

テーマが日本とは全く異なっておりました。

日本の展覧会は、「Story of・・・カルティエ クリエイション〜めぐり逢う美の記憶」というタイトルだったんですが、

北京では、「カルティエ トレジャーズ〜王の宝石商、宝石商の王」になっております。

うーむ、何て上手いんでしょう、カルティエ。日本で吉岡徳仁氏がディレクターに起用されていたのは、国際的に活躍している一流のデザイナーさんだからということもあったんでしょうが、「ここが日本だから」ということだったんですね。

でもって、中国では中国人に受けそうなテーマにシフトする。郷に入りては郷に従うマーケティング戦略。したたかであります。

グローバル市場をターゲットにしているラグジュアリーブランドさんは、この次には、「伸びる市場」=「今後強化すべき市場」に軸足をシフトし、成熟市場で無駄な動きはしない、という風に変化していくんでしょうね。さすがは、宝石商の王、と自らを規定するだけのことはあります。

ご参考までに、展覧会の特設ウェブサイトと、elle.com.hkの掲載記事をご紹介しておきますね。

Cartie Treasures

elle.com.hk

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2009年7月31日 (金)

「アイ・ウェイウェイ展ー何に因って」

休日出勤の代休だった今日は、「これは絶対に行かなきゃ」と思っていた展覧会を見に行って参りました。それは、森美術館で開かれている中国の現代美術家の個展「アイ・ウェイウェイ展ー何に因って」であります。

最近忙しかったので、事前のネット検索など何も行なわずに足を運んだものですから、会場で来場者の皆さんがぱちぱち写真を撮影している姿を見て、かなりびっくり致しました。クリエイティブコモンズのライセンスの下、ブログなど商用利用ではない利用を認められたとのことで、始めからこのことをご存知の方は、ケータイではなくちゃんとデジカメや大きいカメラをお持ちになっておられたようです。

私はケータイで撮影しようかどうか、かなり迷ったんですが、撮影に気を取られてしまうと、自分自身の目と心で作品をしっかり捉えることが出来なくなってしまうように思って、撮るのは止めました。

展示されている作品は、大きく3タイプに分けることが出来て、1つはオブジェ、1つは建築(もちろん現物は展示出来ないので、建物を建てているプロセスの写真やパース等が飾られていました)、そしてもう1つ、映像作品です。

オブジェと、北京オリンピックの会場となった「鳥の巣」こと、北京国家体育場などの建築には共通する傾向があって、幾何学的な形状の反復と展開がアイ・ウェイウェイ氏の持ち味のようです。

それも、例えばお茶葉を正方体に固めた「1トンのお茶」とか、1メートル×1メートル×1メートルの構造になっているテーブルを13台並べた「1立方メートルのテーブル」など、ミニマルだが、大きくて、ずっしりとした安定感があり、さらに、マテリアルの持つ自然な匂いまで感じることが出来るような作品だったり、

あるいは、中国で昔使われていたアンティークの家具を中国の職人さん達の手で一度解体し、再度寄せ木細工で組み立て直した「平行棒」「2本足のテーブル」など、奇をてらわず歴史的文化的に価値あるものを元々の形を生かしながら現代に蘇らせている作品など、

泰然として王道を歩んでいるな、という印象を受けました。

その一方で、「中国の丸太」という作品で、丸太の真ん中の部分を中国地図の形にくりぬいたり、ビデオ作品「長安大通り」では、2004年に長安大通りを車で50メートルずつ移動しながら街の風景を1分間ずつ映像に収め10時間以上のドキュメンタリーに仕上げていたりと、「国家」とは何か、今の中国に対しクリエーターとして何が出来るのか、といった意識を、アイ・ウェイウェイ氏が抱いているであろうと思われるような作品の数々が並んでおりました。

私が感じたのは、上海に行って美術館やギャラリーで見たり、ネットで検索して探し出した中国の現代美術家の多くの方々の作風に見られるような、ある種の高揚感が、アイ・ウェイウェイ氏の作品からはあまり感じられないな、ということです。

映像や建築現場の写真からは、アーティストの自己主張は感じられず、まるでジャーナリストがフィルムを回しているのではないかと思えるほど、一歩引いたところから観察、洞察を行なっておられるように感じました。

後で自宅に帰り、ネットで検索をかけて知ったんですが、ウィキペディアに記されている通り、アイ・ウェイウェイ氏は子供の頃文化大革命のため新疆ウイグル自治区の強制収容所に入れられるという経験をなさっておられるようです。

また、鳥の巣をヘルツォーク&ド・ムーロンと共同設計したにも関わらず、「艾未未はオリンピック開催に失望し反対する考えを示していたが、これらは中国の報道からは無視された。後に彼は国家体育場建設やオリンピック関係のイベントから手を引いた。(中略)結局、彼はオリンピック開会式に出席することはなかった」(Wikipediaより引用)という事実があったようなんですが、

今回の展覧会場には、そういった記述は一切見られませんでした。

もし先にこういう説明を読んでいたとしたら、ひょっとしたら私の作品に対する見方は変わっていたかもしれないので、あえて先入観なしに作品を鑑賞してもらうため、政治に関わる記述はカットされたのかもしれませんが、

「反抗」「抵抗」の感情を高ぶらせ、強く作品に反映させるのではなく、展覧会のタイトルにあるように「何に因って」と、自らや自らを取り巻く中国の社会への“問い”を発し続ける、その静かな意思の継続が、アイ・ウェイウェイというアーティストの創作の原動力になっていることは間違いないと思います。

1957年生まれの作家さんで、ここ数年、本当に充実した活動を行っておられるようです。今後の新作にも、本当に目が離せないなと思います。

現代美術愛好家の皆様だけでなく、中国にご関心のある方ならば、面白いなと思って頂けると思います。見応えのある展覧会でした。

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2009年6月26日 (金)

これもスタルク

これもスタルク

ちょっと前からネットニュースや新聞なんかに、

フィリップ・スタルク氏がバランタイン・カシミヤと協業」などという見出しの記事が踊っていますが、

この写真の、通称「○○○ビル」こと、アサヒビールさんの本社も、スタルク氏の代表作の1つだってことは、皆さんご存知ですよね?

写真は、今日浅草からの帰りに自転車にまたがったまま写しました(ゆがんじゃっててごめんなさい)。赤い橋と、金の雲との組み合わせを見て、

嗚呼、やはり、この作品の裏テーマは「上昇するアジア」なのかしらん(今や日本よりはこのビルは上海の方が似合うかも)、と思ってしまうさくらなのでありました。

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2009年6月19日 (金)

「ディーゼル(DIESEL)」のホームコレクションに、照明と家具のラインが登場

少し古い話題で恐縮ですが、JDNさんのミラノ・サローネのレポートの中に、「ディーゼル(DIESEL)」のホームコレクションに照明と家具が登場する、というものがございました。

ディーゼルのホームコレクションより、照明と家具のラインが登場ーJDN

そもそも、「ディーゼル」さんが、ホームファッションの分野にも進出なさっておられること自体を私は初めて知ったんですが、日本でも銀座と大阪の旗艦店にはコーナーが設けられているようであります。

ディーゼル公式ホームページのホームコレクションのページ

ヨーロッパのラグジュアリーブランドは、インテリアとか、自らホテルの建設・運営にも乗り出しているところが結構あって、日本のアパレルとは違って、ファッションの外縁をライフスタイルの領域にまで拡大して考えておられるように思うんですが、

デニムを核とするブランドであっても、ハイエンドなポジションを取ることに成功している「ディーゼル」さんが進むべき道は、当然この方向になってくる、ということなんでしょうね。

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2009年6月 7日 (日)

ピノー財団の美術館「プンタ・デラ・ドガーナ(Punta della Dogana)」がベネツィアに完成

安藤忠雄氏の設計ということで、かなり前から話題になっていた、「グッチ」などのブランドを傘下に治めるピノー財団の新しい美術館「プンタ・デラ・ドガーナ(Punta della Dogana)」が、ついに完成したようです。

場所は、ベネチアなんですよね。まだベネチアには一度も行ったことがないので、今度イタリアに行く機会があったら、是非1日時間を取って水の都の魅力を堪能して来たいんですが。

しかし、ピノー財団のみならず、カルティエ、シャネル、プラダ、LVMH等々、アートの文化的価値の高さを認識し積極的にパトロンとして新進気鋭の作家の作品を収蔵していっておられるのは、素晴らしいことだと思います。

これは、ファッションというジャンルも、アートに近接する領域に存在し、アート同様に「文化」であるという考え方に基づく行動だと思うのです。

収集したアートは、資産にも成り得ますが、それ以上に、「文化を理解し保護発展させるブランド(企業)」という風に世間に評価されることで、自社ブランド及びコーポレイトブランドの価値を高める効果が高いと思います。さらには、後世のデザイナー達のデザインのリソース、アーカイブにもなります。

これは、単なる経営者の道楽とか趣味ではなく、確信を持った企業戦略なのです。日本のファッション業界においては、「イッセイミヤケ」などごく一部以外に、戦略的にアートとの共犯関係を切り結ぼうとする企業が出現しないことが、残念でなりません。

(沢山美術館の写真が掲載されていたサイト、「MODE PRESS」さんと、「ブルータス副編集長のブログ、フクヘン。」をご紹介しておきます)。

安藤忠雄氏が設計した美術館、ベネチアにオープン-MODE PRESS

ピノー財団の新しい美術館 Punta della Dogana-ブルータス副編集長のブログ、フクヘン。

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2009年6月 1日 (月)

カルティエ×吉岡徳仁×表慶館による美の三重奏ー「Story of...カルティエ クリエイション|めぐり逢う美の記憶」

今日5月31日(日)を以て終了してしまった展覧会「Story of...カルティエ クリエイション|めぐり逢う美の記憶」の感想をアップします。

既に数多くのブログに「良かった」「感動しました」という感想がアップされている通りで、私も昨日実際に東京国立博物館に足を運んでみて、「嗚呼、これはもう、展覧会としては大成功だな」という風に感じました。

同時開催のもう1つの特別展が、興福寺の阿修羅像の展示ということで、非常に集客力の高いコンテンツになっていたことも幸いだったかと思いますが、阿修羅の行列でいい加減疲れておられる方々にとっても、「こちらもやはり見ておきたい」と思わせるだけの内容になっていたと思いますし、私のようにカルティエだけを見ているお客様もそこそこおられたように思います。

美しい宝飾品の数々は、アートにさほど関心のない方でも、ひと目見ればその価値を感じることが出来るものですし(何せ、ダイヤモンドとか金とかプラチナの輝き方が半端ではないので!)、カルティエというブランドについて何がしかの知識を持っていれば尚楽しく見ることが出来るように思います。

昨日は最終日前日、それも土曜日だったからということも関係しているのだろうと思いましたが、ファッションセンスの良い客層が多く、それも通常私がよく見に行く現代美術系の展覧会に比べて、「コムデギャルソン」などを好むようなファッションオタク的な感じの人達よりも、可処分所得が高く普通に良いお洋服・高いお洋服をチョイスして着ておられるような層が圧倒的に多いように思いました。年代を問わず、カップルの比率が高かったです。

カルティエの作品群が素晴らしいであろうことは、見に行く前からそれなりに想像していたんですが、特に2Fに展示されていた、インドのブピンドラ・シン国王向けのスペシャル・オーダー品である巨大なネックレス(展覧会のポスターの表紙に使われている品です、ちなみにセンターストーンは遺失し、現在使用している石はイエロージルコニアです)とか、爬虫類が大好きだったというメキシコの女優、マリア・フェリックスの愛用品であったクロコダイルのネックレスなどの大作には、その商品が生まれた背景(それこそ、ストーリーですね)と、使用されている石の数、手の込んだつくりに、本当に圧倒されました。

そういう、展示品そのものの持つ美的価値、パワーと合わせて、監修者である吉岡徳仁氏による心憎いばかりの演出。映像、音、そして、最後の部屋では香りまでも含めて、五感を刺激するクリエイティビティが繰り広げられておりました。

最後の部屋では、グレース・ケリー王妃の映像を天井に映し出していましたが、それは、吉岡氏のデザインしている椅子に腰掛けると一番美しく見えるようになっているんですよね。たまにそのことに気づかれず展示室から出て行っておられる方がおられたので、「もったいないな〜」と。

映像の雰囲気も、吉岡氏の作風を彷彿とさせるところがあって、今回のカルティエとのコラボは、まさにベストマッチだな、という感を受けましたね。

さらには、多くの方々がブログで指摘なさっておられましたが、表慶館という建物がこれまた素晴らしい。大正天皇のご成婚記念としての建造物で、重要文化財に指定されているそうですが、オーセンティックな世界観を表出するのにとても相応しい場の空気感を備えているように思いました。

大作に混じって、同社が現在も販売している時計の「タンク」とか「オーバル」、アクセサリー類なんかも展示されていたりなんかして、カルティエ様、やはり巧い、展覧会こそが最大のPRであるということを痛感致しました。

不況とは言え、アパレルと違って資産にもなる宝飾品はやっぱり強い。今後はこういう展覧会もアジアでは日本よりも中国が優先ということになってくるのでしょうが、機会があればまた別の切り口で同社の素晴らしい作品を見せて頂きたいものだと心から思いました。

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2009年5月10日 (日)

切り口不在の展覧会、でも作品とビデオは一見の価値ありー6+ アントワープ・ファッション展

(今日はもう1つエントリをアップしておりますので、宜しければ1つ下のものからお読み下さい)。

遅くなってしまったんですが、5月6日(水)に見てきた「シックスプラス(6+) アントワープ・ファッション展」について少しだけ。

既に幾つかのブログにこの展覧会の感想がアップされているんですが、立場上あまりストレートな物言いが難しいファッション系ブログでなおかつ業界内部の方々の当たり障りのない「ご紹介」程度のコメントに比べて、「あまり面白くなかった」という、アートの業界のプロの方のコメントや一般の方の率直なご意見の方に、さくらも近い感想を持ちました。

正直、「キュレーション」というか「編集」の意図が、あまり伝わってこない展覧会のように思ったんですよね。新しい視座の提示がないというか・・・。

というか、見方によっては、アントワープ系デザイナーの功績礼賛、そのさわりの部分のみを紹介する、素直で素朴なファッション初心者向けのポジティブな展示だという風な評価も可能かもしれません。

ネットで検索をかけてみたんですが、どうやらこの展覧会は元々、2007年の1月から6月の間に、ブリュッセルのフランダース議会で開催されていたみたいです。なので、目的と想定される観客によって、必然的にこういう内容につながっていった、ということなんだろうと思います。

東京オペラシティギャラリーの同展の会場は3つのパートに区分されていて、

1.アントワープ王立美術アカデミーファッション科(2007-2008)・・・最近の学生さんの作品

2.アントワープの6人とメゾン・マルタン・マルジェラ・・・「アントワープの6人」=アン・ドゥムールメースター、ドリース・ヴァン・ノッテン、マリナ・イェー、ディルク・ビッケンベルヒス、ディルク・ヴァン・サーヌ、ワルター・ヴァン・ベイレンドンクと、マルタン・マルジェラのコレクション作品。

3.新世代のデザイナーたち・・・「アントワープの6人」以降に登場した「第2世代」=王立アカデミー卒ではないラフ・シモンズ及び、同校卒のユルヒ・ペルソーンス、リープ・ヴァン・ホルプ、A・F・ヴァンドヴォルスト、ヴェロニク・ブランキーノ、パトリック・ヴァン・オンメスラーゲ、ブルーノ・ピータルス、ハイダー・アッカーマン、ベルンハルト・ヴィルヘルム、クリス・ヴァン・アッシュのコレクション作品。

4.写真・映像・・・上記のプロデザイナー達のコレクションの写真や映像、アカデミーの修了ショーの映像。

上記のような構成になっていました(人名の表記はパンフレットに準じました)。

1から3までの展示スペースでは、マネキンを載せているランウェイというか縦長の平台には、ファッションに関する記事や評論が掲載された海外の媒体が引き延ばされてコラージュ状にプリントされており、アントワープ王立アカデミーの教育や、アントワープ発のデザイナー達のクリエーションは、ファッション・ジャーナリズムの評価に後押しされて大きく世に羽ばたいたのだ、ということを暗示する演出になっております。

さくら的には、これがない方が良かったんじゃないか、時系列的なグルーピングも止めて、キュレーションする人の独自の視点で見せて欲しいな、という気がしたんですが、

まあ、一番簡単でなおかつハズレのない展示方法ではありますよね。

最近の学生さん達の作品は、リアル・クローズではなく、服飾の歴史を踏まえた上でそこから各自のアイデアを膨らませているんだろうな、といった感じのものであります。なので、バッスル・スカートなど、シルエットがリアル・クローズ的ではないものもございます。

なおかつ、マテリアルの中にもユニークなものがいろいろ登場していて、籐、シャッター、ファー、かつらなどがございました。

説明が全くなかったので想像する以外にないんですが、それぞれの素材を選択した学生さんの中には、何らかの必然性があってのことではないかとは思います。

とはいえ、例えば、かつてパコ・ラバンヌが登場した時のように、時代性を感じさせる素材の選択がそこにあったかというと、うーん、どうなんでしょう、という風に私は思いました。

たぶん、「アントワープ」という場所は、日本やアメリカのようにモダンーポストモダンとか、インターネット周りで覚醒する消費者の動きの変化とか、そういうものから距離があって、なおかつ、今の社会の中でもう1つ台頭してきているグローバリゼーションとネガとポジの関係にある民族主義とか、民族独自のカルチャーに関する意識の高まりとか、そういうものからもまた、距離がまだまだある、静かな場所だからなんだと思います。

3年時の「民族衣装」というテーマからも、もうちょっとラジカルだったりユニークなものが出てきてもいいんじゃないかなと。

フォルムの作り方は、どなたも非常に奇麗だなと感心致しました。プロポーションを取る際の黄金律に対する美的感覚が鈍いような方は、恐らくこの学校ではとてもとてもやってはいけないのでしょう。縫製も大体において良くて、乱れはごくごく一部しかないように思いましたので、ひょっとしたら外部のプロに委託しておられるのかもしれませんね。

2と3のパートについては、プロの業界人の皆様なら重々ご存知のデザイナー達ばかりだと思います。学生さん達の作品とは打って変わって、皆さん、コンセプチュアルでありながら服として袖を通したくなるような「商品」を打ち出しておられます。

ということは、「学生」と「プロ」の間には、何かプロになってご成功された皆さんが飛び越えて行かれた「河」のようなものがあった筈なんですが、その辺りを本当はこの展覧会では深掘りして欲しかったな、というのが、私の感想であります。

今見ても、昔のアン・ドゥムルメステール、ドリス・ヴァン・ノッテン、ハイダー・アッカーマン、ヴェロニク・ブランキーノ、A・F・ヴァンドヴォルストなんかの作品は、やっぱりすごく良くて、「これは間違いなく売れるな」という感じが致します。

それと、さくら的には、心の恋人であるラフ・シモンズにまつわる展示が、メチャメチャ懐かしく、非常に嬉しかったです。

特に、4の写真・映像のコーナーにあった1998年春夏(上半身裸にパンツとか、裸の上に直接スーツ着用といったルック)とか、1999年秋冬のコレクション(グレーで未来的なイメージを演出)の頃は、インテリジェンスがあるが故に懊悩する若きクリエーターが自分の友人達に向けて作っている服だなぁと思っていて、心酔しておりました。

ラフ・シモンズ氏の場合は、セクシーさを狙っていないのに、結果的に、独特のセクシュアリティがある服になっているところが、ものすごく好きだったんですよね(だから売れたんだと思いますが)。

この頃ちょうど、岡山からその頃勤務していた新聞社を辞めて上京しIFIビジネススクールに入学する前後で、自分の人生の転機でもあったので、余計に鮮明な記憶として体の中に残っております。

厳密に言うと、私は女性なのでラフ・シモンズを購入することはないんですが、ファッションがアート以上に魅力がある部分は、「自ら購入し、身体に身につける」ものであるからこそ、自分史と切り離せないものになるところにあると思います。コレクションの映像もさることながら、例えば商品を購入した方々のアルバム(今だとケータイとかPCのピクチャのホルダーですか)の中に保存されている写真や動画を集めて見せたら、非常に面白いんじゃないかと私は思うんですよね。特に、ネットが発達する以前の写真は、それらを見ることで「ネット以前」「ネット以後」の消費者の意識の変化も理解出来ると思いますので、集めてみるといろいろなことが見えてくるのではないとに思います。

映像に関しては、ベルンハルト・ウィルヘルムの2005-2006秋冬(モデルさんがぴょんぴょん飛び跳ねているコレクション)とか、ベルリンの壁崩壊を予見したかのような、1990年春夏のマルタン・マルジェラのコレクションとか、一見する価値があるものが他にも沢山ございました。

総体としての評価云々は別として、ファッションやアートが好きな方にはこの展覧会のディテールは非常に刺激的で発見が多いものになるのではないかと思います。特に若い方で、まだまだアーカイブをあまり沢山見ておられないという方には、是非初台まで足を運んで見られることをおすすめいたします。

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2009年3月21日 (土)

野田琺瑯のゆるくて長いブーム

19日木曜日の夜、大残業に備えて、近所のお弁当屋さん「よっくもっく」(注:IFIマスターコースの昔の卒業生の皆さん、懐かしいでしょ〜。「よっくもっく」さんは、今は学校の向かいではなく、蔵前橋通りに移転しておりますが、健在ですよ)で買ってきたハンバーグカレーにぱくつきながら、新聞の折り込み広告の「圧力なべ」の広告に見入りつつ考えていたこと。

「100年に1度の大不況」が喧噪され始めてから、「食生活は手作りで節約を」という一大ブームが巻き起こっていて、書店ではお弁当本や料理本のコーナーが拡大され、東急ハンズやインテリア・ライフスタイルショップではお弁当箱の品揃えが強化され、女子はおろかヤング男子の皆さんまでお料理にいそしんでおられるようで、

そうなると次は、よりよい調理器具を求める動きが出てくる、というのは、至極当然の流れだろう。

昨今の料理ブームには、もう1つ、「健康志向」と「エコ・オーガニックブーム」の流れもあって、私が見ていた「圧力なべ」の広告も、「玄米ご飯が簡単に炊ける」ということを大きなセールスポイントにしておられるようであった。

そういうご時勢なので、昔に比べて、ファッション系の雑誌にも、食器とか調理器具の情報が掲載されることが以前に比べてぐんと増えている。

さっき、このブログを書く前にぼんやり眺めていた『ファッジ(FUDGE)』の3月号にも、「メイド・イン・ジャパンの実力」という特集記事に、野田琺瑯さんのボトルが、うちの地元の松徳硝子さんとか、白山陶器さんなどと一緒に取り上げられていた。

いつも書いているように、私は服と本以外にはお金をかけない(というか、かけられない)、つましい生活を送っているので、もちろん野田琺瑯の調理器具を買い集めるようなお洒落なキッチンを持っている訳ではないが、それでも何となく、ネット上では随分前から野田琺瑯さんのブームが来ているらしいというのは感じていて、

ひょっとしたらその火付け役は「アンジェ」さん辺りだったのかもしれないが、ブログの初期ブームが起こりつつあった2004年頃には、野田琺瑯の白いケトルとか、ぬか漬け用の底が深いタッパーなんかが、話題になっていたようなぼんやりとした記憶がある(今検索をかけてみたら、やはりそうでしたね)。

ファッション商品と違って、食住の分野では、明らかにヤングよりは主婦、それも、「センスの良い暮らし」ということになると、20代後半から30代の若い主婦の中からトレンドが生まれる傾向が強い。

そして、先にネットからじわじわとブームが広がって、それがヤングやシングル30代向けの雑誌に逆に広がってくる、という動きが出てきていることに、注目したいと思う。

「ブーム」と書いたが、それは一過性のものではなく、長い歴史を経ても変わらぬ良さを持つ良品佳品が再発見されているといった感があり、足が長いものだ。

野田琺瑯さんに関しても、デザインの良さだけでなく、「タッパーをそのまま火にかけられる」「ぬか漬けのにおいが移らない」といった機能面の優位性があり、これからもゆるくて長いロングセラーを続けていかれるのではないかと私は思っているんですけどね。

私が今注目しているのが、食住に関するトレンド発信が、団塊ジュニアという「人口の多い層」のクチコミパワーによるもので、この層が今後ネット上でも影響力の強さをキープしていくのか、それとも、下の世代が適齢期に入ってくると、攻守交代していくのか、ということである。

特に、「ギャルと食文化」というテーマに、さくら的には強い興味があるんですよね。皆さん、情報をお持ちでしたら、ぜひぜひ教えてください!

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