シンガポールレポート、本日が最終回です。
2013年5月17日(金)午後2時過ぎ、
そろそろ空港へ向かう時間を気にしつつ、通りの向かい側を目指して、アイオン・オーチャード(ION ORCHARD)から下へ下へと降り、地下通路を通りました。
下へ下へと降りて行くと、地下も商業エリアになっていて、そこがアイオンと同じショッピングセンターなのか、別の商業施設なのかよくわからなかったのですが、
地下2Fは「H&M」「アディダス」「MUJI TO GO」「G2000」「ロイス」「ダンキンドーナッツ」に食品スーパー、地下3Fは「ユニクロ」・・・というストアラインナップで、
明らかに昨夜のエントリーでご紹介したようなラグジュアリーブランド群とは異なる、ファストファッション、スポーツ、食品等で構成されるゾーンになっており、
客層も、若いカップル等が多く、客数もアイオンよりははるかに多く、わさわさとした賑わいを見せていました。
中国に行っても、後述するバンコクでも、日本の東京でも、今や、ファッション業界のどまん中にドーンと君臨しているのはファストファッションです。海外に行くと、日本にいる時以上に強くそのことを感じます。
そして、地下の通路に入ると、壁面を横長に使って「マンゴ」の動画を放映しているデジタルサイネージがございました(写真1)。ソウルの明洞とか、北京あたりでも、地下通路はファストファッションの広告が目立つ形で展開されているケースが多いですし、最近は東京駅の地下で「H&M」さんがデジタルサイネージを使っておられますが、これまた、世界同時多発的現象です。
通路を渡りきると、今回のシンガポールの旅での最後の目的地、タングス(TANGS)というショッピングセンターに行き着きます。
こちらの印象は、実は、2008年の時とほとんど変わりませんでした。地下の家電や食器などの売り場は、実演販売が多く活気があって非常にお客様が多く、1Fのコスメの売り場も、その次にお客様が多いです。
今回は2Fまでしか行けなかったのですが、2Fのレディスファッション、3Fのメンズファッション、4Fのカジュアル、デジタル関連、カフェ・・・と上層階に行くにつれて普通になってくるのですが、
超高級、高級なものはなく、ミドルアッパープライス〜中〜中の下(セール品も含めて)の品揃えになっていて、なおかつミセスっぽくない(百貨店や他のSCとは差別化されている)インターナショナルな匂いがするカジュアルをうまくセレクトしてあるので、地元のお客様がきっちりついている印象です。
正直、シンガポールは商業施設が増え、なおかつ景気が今ひとつよくないのではという印象で、6年前に比べて元気がないな、というところが多々あったんですが、タングスさんが客数的に「変わっていない」という風に見えたのはすごいことだと思います。立地がよいということだけでなく、企業努力があるからだという気がいたします。
2Fには靴だと「チエミハラ」「アルベルト・ガラディーニ」「メリッサ」「ユナイテッドヌード」など、日本でも見かけるブランドもちらほらありました。
「メリッサ」は「SCパラゴン」他、幾つかの売り場で見かけましたが、日本と同じで価格競争力があるブランドさんですね。サンダルが必要とされる暑い国ですし、見ていると試着される方がやはり多いです。
また、アパレルでは「チャラヤン」「MM6」「デシグアル」「フレンチコネクション」等々。「チャラヤン」のラックが、相当スカスカになっていました。実はバンコクでも「チャラヤン」は売れているかと思える売り場があって、想像ですが価格的に買いやすいのと、カットソーのデザインがゆったりしていて涼しそうに見え、実際に着ても涼しいからではないかと思ったんですが。次回訪ねる機会があったら、お店の方にちょこっと真相を聞いてみたいなと思います。
シンガポールのレポート、なかなか書き進められず、楽しみに待っていて下さった皆様方には本当に申し訳ございませんでした。
この国は、国際都市で、観光客も地元の方も可処分所得が高くビジネスチャンスが多いように一見思えるんですが、
アパレルに関しては、ラグジュアリーブランドーアフォーダブルラグジュアリーと、ファストファッションが市場を席巻しており、
地元発と思しきブランドは元気がなくなっている、非常に育ちにくい状態なのではないかという風に感じました。
その一方で、日本のテイクアウトやカジュアルレストラン業態などの「食」、「クレイトアンドバレル」に代表される「住」など、現地にまだないもの、少ないものに関してはチャンスは大きいように思います。
今は過渡期で、東南アジア全体の発展と共に、ファッション地図の中にもどんどんアジア発の新しい企業が加わっていくのか、それとも欧米の影響力の強い国のまま、周辺国とは異なる様相を呈していくのか・・・まだ、わからないなという気がいたします。
英語圏なのでイギリスやアメリカ発の情報には敏感だと思いますが、日本の文化的影響力は相対的にそう大きなものではなく、物を売ろうとする前にしっかり情報発信、コミュニケーションを行っていくことが必要なのではと感じつつ、チャンギ空港を後に一路バンコクへ向かいました。
写真1:オーチャード交差点地下通路の「マンゴ」のデジタルサイネージ(電子看板)
写真2:アイオンの向かいの商業施設タングスの地下1F入口
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